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Fate/stay night -the last fencer-
序章
プロローグ
PrologueV-T
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からないではないが、それが衛宮という人物だ」
「はぁ。ま、そりゃそうなんだが。まぁおまえのその性質は長所でもあり短所でもある。そういう風に考えておけよ、士郎」
「一応、忠告として受け取っておくよ。実践できるかは分からないけどな」
「それで構わないさ。どれだけ歪に見えても、それを貫き通せるならそれはそいつの強さだ」

 生き方なんて人それぞれ、そこに口出しするなんて傲慢以外の何物でもない。

 けれど士郎のそれは確実に、士郎自身が損をする生き方だ。
 俺はこいつを友人だと思っている以上、忠告とか心配ぐらいはさせてもらいたい。

 それこそ俺が自分で言った、自身のキャパシティを超えた領域にある問題なのかもしれないが………………

「ところでだ、士郎。おまえ復部は考えねぇの?」
「唐突な話題変更だな」

 これ以上言ってもキリは無いと考え、話題を変える。
 唐突だったのは俺がその話題を思い出したのが唐突だったからである。

 つい最近も、弓道部と衛宮士郎の問題を聞かされていたのだ。

「いやー、美綴ちゃんに頼まれたってのもあるけど。自分の得意分野投げ捨てるのは勿体無いんじゃないかと思ってな」
「それは俺も少し思うところがあるぞ。おまえは全国を目指せる腕前があるんだろう?」
「俺だって色々考えた上で退部したんだ。それに全国目指せるって言うなら、黎慈だってそうだろ」
「俺にとっての剣道は内申書と暇潰しのためなんで、全国とか興味ないんだよ」
「全国に興味が無いのは俺も同じさ」

 これだよ。参ったね、ホント。
 俺が士郎を説得できない理由にはこの事も含まれている。
 
 同じような状況にありながら、自身がやっていないことを他者に強要出来るはずが無い。
 彼を復部に向かわせる持ち札もなければ、彼に影響を及ぼせるほどの人間にもなれていない。
 仮にここで俺が全国を目指すといっても、それは士郎の心変わりの一因にはならないだろう。

 最初から詰んでいる戦略系ゲームのようである。

「わかったわかった。俺も言ってみただけだって」
「……そうか」
「ただ美綴も間桐も……間桐桜もおまえのことを気に掛けてるし、今は慎二のこともある。ちょくちょく顔見せに行けよ」
「言われなくてもわかってるさ。慎二に関しては俺がどうすることもできないと思うけど」

今はもう、できることは何もないか。
凛も捕まらないし、後は放課後まで待つしかないかね。




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