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Fate/stay night -the last fencer-
序章
プロローグ
PrologueV-T
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 今日は授業の合間にでも打ち合わせできればと思い、凛を探していた。
 直接凛の教室まで出向いたり、所在をクラスメイトに聞いたりしたのだが悉く凛は不在で空振っていた。

 恐らく、休み時間の間にも一人で、結界の基点探索、基点封じをしていたのだろう。

 けれど俺が遠坂を探していたのを知っているのは、凛の教室で話を聞いた三枝のみ。
 しかし彼女はこんな根も葉もない噂を流して、クスクスと面白がるような悪どい性格ではない。

 三枝が話題のタネに蒔寺と氷室に話して、それを盗み聴いていた他の生徒が騒いでいる、というのが真相に一番近いのではないだろうか。

「くだらねぇ。そんな色恋に関係あることじゃねぇよ」
「では、あの女怪に何用だ? ハッキリ言っておくが、アレと付き合うのは不健全極まりないことだぞ」
「女怪って…………いや、ちょっと遠坂に貸してる物があってな。今日に返す約束だったんだが、アイツ今日不在が多くてさ。どうしたもんかと途方に暮れていただけだよ」
「ほう。おまえは遠坂と物の貸し借りをするような仲だったのか」
「たまたま、そういうことになったってだけだよ。おまえだってクラスメイトが消しゴムを忘れてきてたら、ちょっと貸すくらいはするだろ?」
「……なるほど」

 どうやら簡単に納得してくれたようである。
 しかし士郎の場合は、困っている人間が居る=助けなければいけない、みたいな価値観を持ってるからなぁ。

「俺は士郎ほど人助け大好き人間でもねぇしな」
「む。別に、誰でも彼でも助けるわけじゃないぞ」

 急に矛先を向けられた上に、自身を揶揄する言葉を聞いてムッとした顔になる士郎。

「俺が誰かを助けるときは、相手が助けを求めたときだけだ」
「だぁから、その助ける相手の選別は出来てるのかって言ってんだよ。感謝しない相手、お前を利用しようとする相手、救済を受け入れられない相手。
 世の中にはただ手を差し伸べるだけじゃ救えない相手ってのが山ほどいる。そういう奴は、大概死ななきゃ直らねぇ馬鹿ばっかりだが────」

 自分に可能な範囲でなら結構だが、自身のキャパシティを超えた領域に入るとそれは事態の悪化になりかねない。
 大きなお世話、余計なお節介、有難迷惑……衛宮士郎の人助けとは基本的にそういうものであり、たとえそうであっても、士郎自身が満足しているのだから始末に負えない。

 善意に対する礼が悪意でも、好意に対する答えが敵意であっても関係ない。
 元より見返りを求めた行動ではなく、士郎にとっては人助けをすることこそが目的であり、その後に発生する諸々に対して己を顧みることはない。

 一言で言うと、損な性格なのだ。

「黒守、衛宮の良き性質をそのように悪し様に言うのはよせ。おまえの言いたいことも分
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