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Fate/stay night -the last fencer-
序章
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上げたり、ペタペタ触ってみたり、一体何がしたいのだろうか。
物凄く丁寧に俺の腕を観察していらっしゃるが、本当に何がしたいのか皆目見当がつかない。
ただ腕が見たかったって訳じゃないだろうし。
さっきまでの流れからすると、腕を見ることで間接的に結界に関与しているかどうかが確認できる要素がある?
それとも街が不穏な空気に包まれている事に関して、腕に何らかの特徴がある者と結界が結びつく要因がある?
どれもこれも推察の域を出ないため、確証は何も無い。
「んー……うん、もういいわ」
「そうかい。ご満足頂けたようで何より。で、何かわかったのか?」
「私の中で、とある可能性の一つが潰せたわ。実際それがわかっただけでも収穫なんだけど」
「ふぅん……深くは聞かないでおこう。それで、俺が犯人かどうかはどうだ?」
「今のところは白に近いグレー。とりあえずは保留」
腕を見せただけでそこまで信用されたなら、安いモンだろう。
ただ俺が犯人ではないとしたところで、事態が一切解決したわけではない。
今後の方針なんかを決めておきたいところ。
「結界はどうする? もうすぐ予鈴が鳴る頃だが……」
「そうね、一昨日言ったことを実行しましょうか。あなたが本当に犯人じゃないなら、放課後基点潰しに付き合いなさい」
「ああ、なるほど。俺を利用する云々ね。この結界は俺もどうにかしたいところなんで、そこは異論ないぜ」
「なら、後は放課後にね。ちゃんと残っていなさいよ」
「おう」
俺の返事も聞かぬまま、凛は屋上から去っていった。
とはいっても、俺も教室に向かわなきゃならないので、見送ってる場合じゃない。
ただ──────
凛が俺に背を向けたときにほんの一瞬だけ、凛の傍から別の魔力波長の揺らぎが感じられたことに、俺は違和感を覚えていた。
今日の昼食は生徒会室で摂ることにした。
ここにはいつも通り士郎と一成も居て、他愛ない雑談をしながら昼休みを過ごしている。
ところで、時々
障害物
(
クズゴミ
)
を見るような眼を向けてくる一成くんは、一体どういう意図があるのでしょう?
士郎に向けてるような優しい眼差しを俺にもプリーズ。
「そういえば黒守。今日は少し噂になっていたぞ。あの黒守が、今度は遠坂凛をターゲットにしているようだ、と」
「はぁ? どこ情報だよそれ。てゆうか何だよ、『今度は〜』とか、『あの黒守〜』って」
「俺も聞いたぞ。俺の場合は後藤君からの耳打ちだったけど。黎慈って誰とでも仲良いみたいだし、仕方ないんじゃないか? 俺もおまえが女の子を遊んでるとまでは思わないけどさ」
何やら愉快な噂が流れているようである。
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