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Fate/stay night -the last fencer-
序章
プロローグ
PrologueU
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ないという点だろう。

「最近は魔具、作ってないなぁ……護符ぐらいは作ってみるか。それにそろそろ、魔術薬の勉強もしないとな…………」

 魔具(アイテム)の作成は得意だが、魔術薬(ポーション)の作成は不得手だったりする。
 道具は術式を仕込んだり呪いを仕込んだりで簡単に作れるのだが、薬に関しては成分の微妙な配分が命取りにもなる。
 自分が使うにしても他人が使うにしても気が滅入るため、容易には手を出しづらかったのが理由だ。

 しかし今日はそんなことよりも、優先して行うべきことがある。

 部屋の中心になる魔方陣の中央に立ち、しばらく運転させていなかった魔術回路を目覚めさせる。
 魔術回路を閉じていたわけでもなく、通常の魔力流動や魔力生成は行っていたが、魔術回路を魔術回路として起動するのが久しぶりなのだ。

 唱えるのは自己の内側へと働きかける言葉。
 俺一人だけのモノである、唯一無二の詠唱。

「set……Ether Drive」

 呪文詠唱と共に、魔術回路が起動する。
 自身へと働きかける意味合いでは魔術回路を魔術廻炉と言い換えているだけだが、これが結構大事なことでもあったりする。

 魔術回路と基盤を接続、生成した魔力を基盤へと送達。

 いつでも魔術を発動可能な状態へ。誰もが扱うような魔術ではなく、黒守の魔術を行使する。

 いくら怠けて鈍ったところで、通常の魔術を扱えるのは黒守の魔術師として当然だ。

 今大事なのは、自分が黒守の魔術を行使するに足る状態に在るかどうか。
 本来は聖遺物を媒体にして簡易発動するが、今回は自分の魔術刻印を通して聖遺物の力を引き出す。

an Ancestor attend(我が系譜に連なる), Spirit the nucleus "CARDINAL SIN"(根幹たる魂に刻まれし原罪)────
 Supuremacy reach the Origin(原点にして頂点に座し), Supuremacy heavens the Fall down(ならば残るは至天からの転落のみ)────」

 契約した聖遺物との同調、同化の儀式詠唱は、言葉も意味も初代の頃から変わらない。

 黒守の母にして初代である黒守朧羽は、聖遺物の神秘・概念を自らに実装する術を得て、根源へと至る道を構想した。

 黒守の悲願は根源に至る、魔法に至る道への到達。

 だというのにそれから600余年もの間、誰も根源へと到達できていないのだ。
 始まりが頂点に近かったが故に、後の子孫らは根源へと至れない限り、ただ転落していくだけの存在に成り下がった。

I wish(ただ願う)……I wish a revive(ただ還りたいと切に願う), |I hope
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