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Fate/stay night -the last fencer-
序章
プロローグ
PrologueU
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はありえない。

 歴史を重ねた家系であるほど、血統というものには深い執着がある。
 黒守一族は長きに亘って血統操作を行い、血の純潔ではなく力の純化を優先した。
 分家こそ持たなかったものの、優れた血を迎え入れることでより力を凝縮し、濃縮するようにしたのだ。

 黒守の家系は約600年にも及ぶ一族だ。ただ一つの目的の為に妄執と妄信と妄念で生き抜いてきた存在など、余人には到底理解出来ないだろう。

 そしてそれらの引き継ぎが終わった後、まるでそう定められていたかのように曾祖父さんも逝ってしまった。
 親兄弟どころか肉親さえ居なくなり、これからは自分の面倒を見られるのは自分しかいない。

 一人の人間としての全てを無くし、独りの魔術師として全てを得たあの日。



 俺は誰にも頼ることなく、一人で生きていくと決めたのだ──────





==========MEMORY OUT==========









「ここの屋敷に戻ってくるのも久しぶりだな……」

 俺は今、実家とも言うべき黒守本家に帰ってきていた。

 冬木からかなり離れた場所にあるこの屋敷は、人の目にはただの廃屋敷に見えるようになっている。
 侵入者探知、侵入者排除の結界も張られており、興味本位の一般人ではなく魔術師が何らかの目的で侵入してきた際には即座に俺に伝わる。

 といっても、この屋敷を離れてから結界が反応を示したことは一度もない。

「さて。用件は手早く済ませたいし、地下の工房に向かうか」

 普段はただの人間然として生活しているが、別段魔術師としての生き方を辞めたわけではなかった。

 良き魔術師である遠坂凛と相対したことで、魔術師としての己を自覚させられた。
 故に魔術師としての義務とも言える行いを成すため、工房が備えてある黒守の屋敷へと戻ってきた。

Release(解除), Release(解錠), Release(解放)──────」

 複雑に術式を組み絡めた、魔術施錠を開いていく。

 中身は違うが同じ形式で掛けられた施錠が合計七つあり、そのいちいちを開いていかなければ工房へは辿り着けない。
 出て行く時にはまた一つずつ施錠していかなければならないという、何とも面倒極まりない仕掛けである。

 面倒だからと言って、施錠を怠るような真似は魔術師として絶対にありえない。



 全ての施錠を解いて、地下室の扉を開く。

 本棚がズラリと並び、あらゆる書籍、魔導書の類が納められた部屋。
 魔具や薬品、それらの製造施設、簡易儀式が可能な小規模の魔方陣……と、魔術師の工房としては中々のものだと思う。

 問題はその工房の主が、一切管理をしてい
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