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Fate/stay night -the last fencer-
序章
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PrologueT
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れていた。
過去にこの町を選んだ理由は、候補の中で最も移住条件が簡潔な場所を選んでのこと。
魔術師として居住地に霊脈が存在する場所を選ぶのは当然だが、そうした土地は代々歴史ある魔術師の家系が管理している。
居住するには法外な対価を要求されることもあり、たとえ相手よりも優れた能力者であっても、魔術師としてそれに逆らうことは暗黙の掟に反する。
場合によっては土地争いをする場合もあるが、基本的には対価を支払い平和的に解決する。
当時は年端もいかない少女だった遠坂凛。
その彼女が霊脈の根ざす土地の管理者であるというのは、同年齢の俺からしてかなり驚嘆すべき事実だった。
実際は後見人らしい男が手続きなどを行っていたが、それとは関係なく同じ年齢である彼女の魔術師としての在り方に、尊敬の念を覚えたことは記憶に残っている。
屋上の風の当たらない角に座って、彼女はサンドイッチなんかを頬張っていた。
手元には紅茶を完備しているあたり、本格的にここで昼休みを過ごす算段なのだろう。
猫を被った態度も健在で、その不自然に完璧すぎる笑顔が逆に背筋を寒くさせる。
「おまえみたいな優等生は、弁当派だと思ってたが」
「いつもはそうですよ。けれど、今日は寝坊してしまったもので」
「は? あんな朝早くに弓道場に居たのに?」
「あ……コホン。今日は、ご飯を炊き忘れてしまいまして」
「ククっ……ま、そういうことにしとこう」
恐らく今日はそういう言い訳で、クラスメイトからの誘いをかわしてきたのだろう。
咄嗟に俺にも同じ対応をしてしまったが、今朝は弓道場にて一緒だったことを忘れていたのだ。
こんなうっかりな一面もあったりするのかと、少し愉快な面持ちになってしまう。
「お隣よろしいですか、遠坂さん? 生憎と、寒風を凌げるポイントはそこしかないものでして」
「ええ、不必要に近寄らないのでしたら」
「そこはご安心ください。お互いにパーソナルスペースもあるでしょうし」
「難しい言葉を知っているのね」
先に居た凛を追い出すことも出来ないので、若干距離を開けつつ隣に座る。
パーソナルスペースというのは個人の快・不快を決める対人距離、云わば縄張り空間のことだ。
心理的な私的空間の事を指すため、自身を中心にいつも確保しておきたい物理的距離を意味する。
分かりやすい例で言うと、人が電車で席に座るとき、通勤ラッシュでもないかぎり密接して座ることは無い。
それぞれに余裕があるときは、隣り合う人間とは若干の距離を開けて座るはずだ。そしてその距離感をパーソナルスペースという。
「雑学好きでね。それに凛みたいな学年トップクラスには及ばずとも、成績も良い方だぜ?そうじゃない
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