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Fate/stay night -the last fencer-
序章
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機嫌が悪いようだ。
「くそ、遠坂のヤツ……!!」
「何かメチャご立腹みたいだぞ、美綴」
「あー、今出て行った遠坂と鉢合わせて、こっぴどくやられたんでしょ」
「なるほど……(ということは、矛先はこっちにくると考えてOK?)」
「ええ……(面倒なとばっちりは、こっちにくると考えてOK)」
俺と美綴のアイコンタクトは完璧だった。
兄の様子に委縮してしまっている間桐は、ギュッと手を握りしめたまま動かない。
何故か兄に対して完全服従の彼女のその姿勢は、見ていて可哀相になるくらいである。
妹の間桐桜、弓道部主将の美綴、そして俺へと順に視線を移す慎二。
俺を見た瞬間、元から悪かった目つきがさらに細められた。不快に思っている感情がその目を通して見えるくらいに。
「あ? 何で黒守がここにいるんだよ。部外者は邪魔だから、さっさと出て行ってくれない?」
「言われずとも出て行くさ。遠坂に振られた誰かさんのせいで、空気も悪くなったし」
「っ……おまえ……! 誰が遠坂に振られただって!? あんな女、こっちから願い下げだよ!!」
「うわぁ。全校男子生徒を敵に回すかのようなその発言、さすがは慎二君ですねー。性格はどうか知らんが、見た目だけなら結構お前の好みじゃねぇの?」
元々派手好きの面食いである慎二である。見た目だけという条件付けも間違ってはいない。
外見も内面も優等生のお嬢様だと思っている全校男子生徒は、その殆どが基本的に遠坂凛に対して憧れを抱いている。
「ふん、僕は自分を安売りしないんでね。性格も伴ったパーフェクトな女の子にしか興味ないのさ」
「ハ、中身よりもまず見た目からの奴がよく言うぜ。まさに見た目だけで中身がない慎二君の言いそうな言葉だわ」
「ぷっ」
あまりの発言に美綴が吹き出す。
だが今の言葉は誰がどう聞いても、売り言葉に買い言葉だ。
だからこそ──────
「黒守……僕に喧嘩売ってるのか?」
プライドの高い慎二が、激昂するのは目に見えていた。
傍目にはすぐにでも喧嘩勃発となりそうな空気だったが、ここで殴り合いになるようなことはない。
なぜなら………………
「別にどっちでもいいけど……?」
「っ…………」
こちらの敵意を込めた視線に耐え切れず、慎二は思わず目を逸らす。
一昔前、何が原因でそうなったかは記憶にないが、慎二とは凄絶な喧嘩をしたことがある。
先に手を出してきたのは慎二だったのは覚えているが、俺はそれを悉く返り討ちにした。
それ以降、慎二は自分から喧嘩を売ってくるような真似はなくなった。
少なくとも自分一人では勝てないことを知っているため、不用意に絡んではこない。
「お前のそのプライドの
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