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Fate/stay night -the last fencer-
序章
プロローグ
PrologueT
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石も落ちてくるということだ。

 いやぁ、まったく恐ろしい話だぜ。
 実際には学者やその時代の時々によって確率は変わっているのでなんとも言えないのだが。

 しかしそう考えると、必ずしも無関係というわけでもないのか。
 訳の解らん理屈で考え込み始めている俺を尻目に、凛が立ち上がった。

「まぁ気にしなくてもいい話ってこと。さて、そろそろ弓道部の部員さんたちも来るでしょうし、私はおいとまさせてもらおうかな」
「何、見て行かないの、射?」
「見ても分からないもの。遠くから眺める分にはいいけどね。不心得者が道場にいるわけにはいかないでしょ」
「別に見学ならそこまで気にすることでもないだろ。逆に男子部員は普段より一層気が入るんじゃねぇの、イイとこ見せようとして。理解できんけど」
「あら、失礼ね」

 先ほどの剣呑な空気とは違って、今回は互いへの牽制程度だ。

 俺との問答をしながら遠坂が席を立つのと、道場に部員がやってくるのは同時だった。

「おはようございます、主将」
「ああ、おはよう間桐。今朝は一人?」
「……はい。力になれず、申し訳ありません」
「ああ、いいっていいって。本人がやらないって言うんなら、無理をさせても仕方がないさ」

 入ってきたのは間桐桜。
 一年生の間ではそれなりに有名だ。それは遠坂凛と同じベクトルで。

 しかしまた凛と同じく、男っ気がない。
 いや。彼女の場合はご執心の男子が一人いるという話を、聞いているし知っている。

 くそぅ、あの果報者め。今度問い詰めてやるべきか。

「それじゃ、失礼するわ。また後でね、美綴さん」
「ああ。またね、遠坂」
「……お疲れ様です、遠坂先輩」
「──────ありがと。桜もしっかりね」

 それだけ告げて、彼女は出て行った。

 間桐は無表情に、されど複雑な空気でその姿を見送っていた。

「……間桐って、遠坂と仲良かったのか?」
「え、何でですか?」
「いや、アイツが苗字じゃなく名前で呼ぶ相手って、結構限られてるからな。俺が全部を知ってるってわけでもないから、一概にはそう言えねぇんだけど」

 少なくともかなり親しい相手、特別な相手でもなければ、彼女は名前で呼ぶことはしないはずだ。

 魔術師であるが故に一般の人間とはあまり親交を深めないため、彼女に友人はそう多くないように思う。
 彼女がそういう気質なのもあるだろうし、意図的に深く他人と付き合うことを避けているのだろう。
 あるいは魔術師繋がりということで、間桐とは特別な親交があるのかもしれないが、そうだとしても少し不思議ではある。

 もしくは彼女たち二人の魔力の波長が似ていることも、関係あるのだろうか────と。

「そんなことはないですよ。私と遠坂
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