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Fate/stay night -the last fencer-
序章
プロローグ
PrologueT
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過激に反応したのかは分かる。

 このペンダントは魔術師にとってみれば、かなりの上等品だ。
 常に帯びている魔力、積み重ねてきた歴史、内包する概念。

 どれをとっても超一級の聖遺物。

 これを触媒にすればかなり大がかりな魔術行使も可能だし、儀礼呪法などを行う際の媒体にもなる。

「いや、興味があるっていうのはそうだけど…………それ、かなりの値打ちモノよ。値段も歴史も……ね。黎慈はそのペンダントの由来って知ってるの?」
「曾爺さんは金持ちだったから、値段はそうだろうけど……由来は確か、ダーナ神族の人々が太陽神への供物として、自分たちの命を少しずつ注いで作り上げた聖なる光のアミュレット、みたいな感じだったと思うぜ」

 ダーナとはケルト神話関連の、ダーナ神話に登場する神の一族のことだ。

 ダーナ族は魔術と詩に優れた一族であり、先住民であるフィル・ボルグ族を破ったが、マイリジアン族……アイルランドの祖先にあたる者らとの戦いには敗れてしまった。
 そして海の彼方に逃れ、“常若の国(ティル・ナ・ノグ)”の地下に“妖精の国(フェアリー・ランド)”を作って、目に見えぬ国土に住む、目に見えない種族となった。

 このあたりが、ダーナ神族についての簡単な知識だ。

 ダーナ神話に関連して出てくる神や王、武器の類も結構多い。
 有名どころでは戦神ルーに海神マナナーン、ダーナ神王である銀の腕のヌアザ、フォモールの王にして邪眼のバロール。
 武器に関しては、クラウ・ソナスやブリューナク、フラガラック、タスラムなどが著名である。

 恐らくダーナ神話そのものに詳しくない者でも、何かで聞いたことのある単語も多いのはないだろうか。

「ふぅん…………」
「う……」

 しかしマズイ。

 まさかここまでの反応をされるとは思わなかった。
 やはり魔術師である彼女にこれを見せるのは、不用心だっただろうか。

 僅かに警戒気味になってしまうものの、特に騒ぐでもなく彼女はアミュレットを見つめいていた。

「いいわね、黎慈は。そういえばアンタの家って、結構な遺産が残ってるって言ってたもんね」
「いや、まぁな……それを自慢するつもりも、浪費しようとも思わねぇけど」

 ペンダントを引っ張り上げたあたりから、凛は素の態度になっている。
 猫被りという建前を維持できないほど、このペンダントは彼女にとっても凄まじいモノに見えるのか。

「………………」
「つーか、何か困りごとか? 金以外のことなら相談に乗るぞ?」

 このペンダントは本当に大切な物だが、もし貸し与えることで彼女のそれが解決するのならば、一日貸す程度ならば吝かではない。

 しかし彼女は、俺の厚意を受ける気はないようだ。

「いいわよ、
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