第百四十二話 仮面の裏
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彼等も険しい顔になっている。
「遂にか。こちらも軍を総動員しろ」
「わかりました」
「もっとも残された数はそれ程ではないか」
パトリックはそのことを思い憂いを感じた。プラントは人口が少ない。このことが今大きくのしかかってきているのだ。
「それでもな。守りきらねばならん」
「そうです」
幕僚達もそれに頷く。
「それでは」
「うむ、ジェネシスの用意もしておけ」
「わかりました」
「まだ試射もしていないが。大丈夫か」
「わかりません。しかし」
返ってきたのは不安定な返事であった。
「今の我々には切り札はあれしかありません」
「そうだな。それではな」
「はい、発射準備もしておきます」
「ティターンズとはやり合わなければならない運命だった」
パトリックは言う。
「ならば躊躇はしてはならない。わかるな」
「彼等がコーディネイターやスペースノイドを否定する限りは」
「戦わなければならなかったのだからな。彼等には容赦はしない」
「連邦には」
「彼等はまた別だ」
それが彼の考えであった。
「強硬派がいなくなったのならば。手を結ぶべきだった」
「ええ」
「シーゲルが倒れ、今の事態ではそれは望むべくもないがな」
「残念なことに」
シーゲルの死はそれだけプラントにとって大きかった。連邦との講和を果たせなくなったからだ。パトリックはそのことを悔やんでいた。
「ティターンズとの戦いが終わってからだ」
彼は言う。
「講和もな。この戦いに」
「我等の命運がかかっています」
「その通りだ。だから」
彼は決断する。
「総動員令だ。志願兵を可能な限り集めよ」
「はっ」
プラントも今最後の戦いに向かっていた。ジェネシスに戦力を集めていた。
ティターンズがあと僅かまで迫った時パトリックはジェネシスに入った。クルーゼがそれを迎える。
「いよいよですな」
「そうだな」
それに応える。クルーゼの仮面の下の邪な笑みには気付いていない。
「では守りはお任せ下さい」
「わかった」
それを受けて司令室に入る。部屋に入る時にそっと写真立てを置いた。
そこには彼とアスラン、そして血のバレンタインで亡くなった妻の三人が映っていた。彼にとってはかけがえのない世界がその一枚の写真にあった。
「御前達と。また一緒に暮らせたならばな」
一言そう呟く。だがそれはもう適わないものであると思っていた。儚い夢であると。
彼もまた戦場に着いた。今ティターンズを迎え撃たんとしていた。
ティターンズの大艦隊が迫る。ロンド=ベルもそこに急行する。
「もうすぐだ」
ブライトが言う。
「もうすぐジェネシスに到着するぞ」
「よし、皆用意はいいか」
ミゲルが声をかける。
「総員出撃だ」
「ミゲル君気合充分ね」
「いいことだ」
彼を見て
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