第百四十二話 仮面の裏
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動くか?」
「いえ」
副長は首を空しく横に振った。
「既に。間もなくあちこちで火が起こるかと」
「そうか、わかった」
ジブリールはそれを聞いて述べる。
「負傷者を救助して総員退艦しろ。わかったな」
「はい、では閣下も」
「私はいい」
だがジブリールはそれを断った。
「この傷では助からん。わかったな」
「・・・・・・わかりました」
「急げ、残された時間はあまりない」
彼は言う。
「いいな」
「バジルール艦長」
副長はそこまで話を聞いてまだ倒れているナタルに声をかけた。
「艦長」
だがナタルからは返事はない。死んだのかと思った。だがそれは違っていた。
「私は・・・・・・一体・・・・・・」
どうやら頭を打ったらしい。痛そうに押さえている。
「確かオーブに・・・・・・それからまた」
「オーブだと」
ジブリールはそれを聞いてふと気付いた。
「艦長、まさか」
「私は・・・・・・」
「副長」
ジブリールはそんな彼女を見て副長に声をかけた。
「は、はい」
「まずは君が総員を退艦させよ。ただしだ」
「ただし?」
「脱出シャトルにはかなり余裕があるか」
「総員の分を入れてもまだ一隻余ります」
「そうか、ならそれは艦長の為に取っておいてくれ。私は彼女に言っておくことがある」
「わかりました。それでは」
「頼むぞ」
こうしてナタル以外はドミニオンから退艦していく。ナタルはジブリールと向かい合うことになった。
「記憶が戻ったようだな」
「はい」
ナタルは彼のその言葉に頷く。
「今確かに」
「そうか。ならいい」
ジブリールはそれを聞いて述べる。
「ずっと君をティターンズ、いや私の為に利用していた。記憶がないことを利用してな」
「そうだったのですか」
「ドミニオンの艦長としてな。それをまず謝罪する」
「閣下・・・・・・」
「もうすぐこの艦は沈む」
彼は言う。
「君も降りるのだ、いいな」
「しかし閣下」
「さっきも副長に言ったが私は助からん」
彼はナタルにもそれを言った。
「だからだ。このままこのドミニオンを墓標とする」
「そうなのですか」
「これは私の望みだったがコーディネイターを消し去り人類は人類で繁栄を迎える」
両方が彼の望みであった。それは最後まで変わらなかった。
「それを見れなかったのは残念だ」
そこまで言って目を閉じた。ロード=ジブリールは今ここに死を迎えた。
ナタルはそれを見届け敬礼を送った後脱出する。しかしドミニオンの爆発に見舞われ行方はわからなくなった。
ティターンズが撤退を開始する中フレイはまだ戦っていた。まるで撤退を無視するかのように。
同じ頃劾もまた戦場に残っていた。だが彼はフレイとは違っていた。
「困った奴等だ」
彼はあの三人を探していたの
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