第十五話
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ね」
本来は壁吊るされた状態の宇宙服に無重力を活かして身体を滑り込ませるのだが重力があるとそれが出来ない。
現在の宇宙服は重量が35kgと昔のEMUの120kgと比べると1/3以下に減量されているが、内部を1気圧までの加圧を可能としながらも作業性を落とさないために、間接部などを除くと細いワイヤーが入った伸縮性の無い素材が使われているため、床にうつ伏せ状態で倒すと自分も床にうつ伏せになり逆匍匐前進というか匍匐後進で足から宇宙服の中に入っていく形をとる。
「そういうな。昔のEMUならこの方法で着れたとしても、絶対に起き上がれなかったさ」
2人は宇宙服を着込むと、自力で起き上がりエアロックに向かう。その後姿はどこか中世の甲冑の様にも見えた。
「船長、エアロックの外のに宇宙人が居てもキャーとか叫ばないで下さいね」
「うるせぇよ!」
ケネスはウォルターのケツを蹴り飛ばした。
エアロックの扉が開くとケネスとウォルターが恐る恐るといった様子でゆっくりと扉の向こうから格納庫内へと出てくる。
ゆっくりと周囲を見渡すが、動くものは存在しない。
『こちらケネス。聞こえるかロバート?』
無線で船内のロバートを呼び出す。
『こちらロバート。聞こえています』
『エアロック周辺からは何も見えない』
『……でしょうね、こちらも船外カメラで確認してますから。見るのは良いから、さっさとその辺の壁をぶっ叩くとかしてくださいよ』
欠伸でもしそうなくらい
『ちょっ、お前簡単に言うなよ! 何かあったらどうするんだよ?』
ケネスだって言われなくても分かっていたが、分かってるだけに言われたくなかった……怖いから。
『そうだ! 船長だけでなく俺も居るんだからな!』
ウォルターもケネスの言葉に賛成するが、その内容が酷い。
『お前等な──』
ケネスが怒りの声を上げようとした時、突然、彼等の通信に割り込む声があった。
『地球の皆さん今にちは渡しはエルシャン・トリマ。貴方たたちが言うところの宇宙塵です』
1時間彼等を放置して船内の様子を監視した結果。彼等の会話の内容からマザーブレインが作り上げた翻訳プログラムは、少ない会話サンプルと短い作成時間の割には頑張っていると評価すべきだろう。
そもそもエルシャンが英会話程度はきちんと出来れば良かったのだが、日本だって16年間も使ってなかったのでそろそろ怪しい位なので、その辺はお察しくださいという事だった。
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