第十五話
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、誰の目にも人工物としか思えない。そして見たことも無い規模の巨大な物体が浮かんでいた。
『調査のために先行させた航宙母艦が、先程第4惑星付近で小型の救助用ポッドに乗った地球人を救助しました』
「な、何だって!」
マザーブレインの報告にエルシャンは驚きの叫びを上げる。
スクリーンに映し出される航宙母艦からの映像には、トレーラーの四角いコンテナを縦に並べたような無骨な30mほどの船体が映っていた。
そして船体にはNASAの文字が見て取れる。
『報告を繰り返します。調査のために先行させた航宙母艦が──』
「そうじゃない。あれは救命ポッドじゃないから、地球の宇宙船! 分かる? 宇宙船ね」
田沢真治として死んでから何年過ぎたかは分からないが、現在の地球の技術レベルはある程度想像がつく。
むしろ火星付近まで航行できる30m級の宇宙船を作っていた事に感動すら覚えた。
『………………まさか』
「いや信じて、本当にお願い」
頑固に信じようとしないマザーブレインだが、そもそもマザーブレインのライブラリーの中に前星間文明段階の技術レベルに対するデーターは存在しなかった。
製造されてから200年間以上も過ぎている分、蓄えたライブラリーのデータは──マザーブレイン自体はハードウェア面で更新されているが──膨大ではあるが、基本的に戦闘用であり、製造時に与えられたデータも、定期的にアップデートされるデータも大型機動要塞としての運用目的に沿ったものであり、他に持っている情報といえば、指揮官との会話などを通して蓄積したものと、その関連情報を自ら探して蓄えたものばかりで、トリマ家の男達に関する情報ばかりが蓄積されている。しかし、それ以外の事となると途端に疎くなってしまうのであった。
『つまり星間文明以前の文明国家所属の生体に救助などの緊急目的以外での接触を行うという、連盟法に対する重大な違反行為を行った……ということになります』
「そうだよ! どうするんだよ! どうなるんだよ?」
『司令官の責任問題に発展します』
「お前がやったんだよ!」
『私はただのAIですから責任は負えません』
「うわぁぁぁっ信じられない! こいつ、ぶっちゃけやがッた!」
『事実です』
エルシャンは本気で頭を抱えた。
エルシャンが目覚めたのはクラト星系での戦いから1ヶ月後のことだった。
シルバ6はクラト星系からのワープ後に、予め移動させてあったエルシャン麾下の65隻の大型機動要塞──フルント政府と名門氏族が保有していた基幹艦隊でエルシャンに権利が移動──と合流。
そして12隻の機動要塞を用いて作り上げて空間に固定した跳躍フィールドを利用してシルバ6と残りの53隻の機動要塞は跳躍する。
その後跳躍フィールドを形成していた12隻の
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