第百三十九話 レクイエム
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とは・・・・・・」
「艦長!」
サイがマリューに対して言う。
「けれど今は」
「それでも」
それでもマリューは戦えなかった。相手は長い間共にいた戦友である。それでどうして戦えるというのであろうか。マリューはそんな女ではなかったのだ。
「私は・・・・・・」
「ここは戦場です」
今度はノイマンが言った。
「今ここで躊躇していては皆が」
「皆が」
「はい、命の危険に曝されます。ですから」
「そうね」
苦渋に満ちた顔で俯いていた。だが今それに頷いた。
「だから今は」
「はい」
「艦長、どうしますか」
トールがマリューに問うてきた。
「御指示を」
「ええ。面舵!」
マリューはそれに応えて指示を出した。
「そして敵の左舷に回ります」
「了解!」
それを受けてアークエンジェルは大きく右に動いた。見ればドミニオンも同じく右に動いていた。
「向こうも動きがいいですね」
「ええ」
マリューはノイマンの言葉に頷く。
「そうね。それもかなり」
「流石はナタル副長です」
「そうね」
あらためてナタルの力量を思い知らされた。
「けれどこちらも」
「そうですね」
負けるわけにはいかなかった。だがそれはナタルも同じであった。
「艦長」
ドミニオンの艦橋にはジブリールもいた。
「ここは任せるぞ」
「お任せ下さい」
ナタルは前を見据えたまま彼に応えた。
「あのアークエンジェルを必ず」
「私は軍人ではない」
ジブリールは言った。
「だから。戦場のことは君達に任せる」
「有り難うございます」
「その力見せてくれよ」
彼はこれといって言おうとはしなかった。見守るだけであった。しかしレクイエムに関しては別であった。
「あれさえ撃つことができるようになればコーディネイターなぞ」
彼はその時を待っていたのだ。今はその時を守る為の戦いであった。彼にとっては。
アークエンジェルは砲撃を開始した。ドミニオンも。
「ゴッドフリート、てーーーーーーーーっ!」
ナタルが艦橋で叫ぶ。するとドミニオンがゴッドフリートを放った。
「急速旋回!」
「はい!」
マリューの指示を受けてトールが舵を切る。それで砲撃を何とかかわした。
「ふう、間一髪」
「トール、チャックさんみたいなこと言うわね」
「あっ、そういえば」
ミリアリアに突っ込まれて気付く。
「何かそんな感じだな」
「よくやってくれたわ、トール君」
マリューが彼を褒めてきた。
「貴方のおかげで助かったわ」
「どうもです」
「今度はこちらの番ね。こっちもゴッドフリート用意」
「了解」
サイがそれに答える。
「ゴッドフリート発射準備完了!」
「了解、ゴッドフリート発射!」
マリューが指示を出す。そして今度はアークエンジェルがゴッドフリートを放
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