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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
NO.1、再び(1)
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?」
「少将閣下に対してぼうやは止せよ、上官侮辱罪で罰せられるぞ」
顔は顰めているが笑いを含んだ言葉に先輩が肩を竦めた。凄い、ぼうやで話が通じるんだ。二人だけの時はそう呼んでいるのかもしれない。

「左遷ですか?」
私が問いかけるとブリューマー少佐が笑い出した。
「まさか! どうしてそんな事を考えるんだ」
「違うの、ハインツ」
「もちろんだよ」
お願いです、私の前でイチャつかないで下さい。ムカつくよりも悲しくなる。

「今回の異動はヴァレンシュタイン少将の希望によるものなんだ。それを受けてミュッケンベルガー元帥からエーレンベルク元帥へ、そしてハウプト人事局長に少将の席を兵站統括部に用意するようにと指示が有った」
意外な言葉だ、先輩も目を丸くしている。少佐がそんな先輩を可笑しそうに見ている。

「少将は元々あまり体が丈夫じゃない。それなのにヴァンフリート以来かなり無理をしているからね。今回の戦いでも体調を崩したことが有ったようだ」
「それで兵站統括部に異動を希望したんですか」
少佐が頷く。

「少将はずっと兵站統括部にという思いなのかもしれないがミュッケンベルガー元帥はそうは考えていない。あくまで一時的なものと捉えている。だから人事も課長補佐という中途半端なものになったんだ。もし本当に兵站統括部に戻すなら何処かの課長にしているよ」

なるほど、そういう事か……。ミュッケンベルガー元帥は少将を宇宙艦隊司令部に戻すつもりでいる。兵站統括部に居るのはあくまで一時療養ということ、だから役職も課長補佐にした、いつでも異動できるように……。ヴァレンシュタイン少将は左遷されたわけではない。ほっとしたけど少し寂しい、また宇宙艦隊司令部に行ってしまう……。

「ではシュターデン少将と仲が悪くて追い出されたんじゃないの? シュターデン少将は宇宙艦隊司令部では力が有るんでしょう?」
先輩が納得がいかないという口調で尋ねたが少佐は苦笑を浮かべた。

「そんな事は有り得ないよ、コルネリア。ヴァレンシュタイン少将はヴァンフリートでもイゼルローンでも大功を立てた。勝つことが出来る用兵家であることを証明したんだ。それを左遷なんて事をしたらミュッケンベルガー元帥は周囲から不信を買うだろう」
「……」

「それに今回シュターデン少将は昇進しなかった」
「……」
思わず先輩と顔を見合したが先輩も驚いている。この大勝利で司令部要員が昇進しない? 有り得ない、どういう事? 少佐に視線を戻すと少佐が軽く頷いた。

「ちょっと問題が有ったようだね、ミュッケンベルガー元帥の不興を買ったようだ。シュターデン少将のミュッケンベルガー元帥に対する影響力は大きくは無い、人事に介入なんて無理だよ。せいぜい出来ても嫌がらせ程度だ」
少佐は笑っているけど笑
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