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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
NO.1、再び(1)
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統括部、五年前までここは不毛な砂漠地帯だった。でもヴァレンシュタイン少尉が配属され青く潤いに満ちたオアシスになった。誰もが皆彼がいる事を喜び、彼と仕事が一緒に出来る事を楽しんだ。でもその黄金の日々も二年と続かなかった……。
今の彼は宇宙艦隊司令部の作戦参謀として軍主流を歩むエリートだ。今回のイゼルローン要塞攻防戦でも大活躍をしたと聞く。おそらく少将に昇進するのは間違いないだろう。このまま作戦参謀として司令部に居るのか、或いは何処かの艦隊の参謀長、分艦隊司令官になるのか、彼の目の前には眩い未来が待っている。
ヴァレンシュタイン准将が落ちこぼれの兵站統括部に戻って来ることは間違ってもない。准将、お願いですから宇宙艦隊司令部の牝犬どもに騙されないで……。あの牝犬どもは殆どが宇宙艦隊に恋人を持っているんです。そして出兵の度に寂しいと言って彼氏に内緒で浮気している、最低の尻軽の軽薄女なんです。 私は准将の貞操が心配です。
「しょうがないわねぇ。……そう言えば今度ここに異動してくる士官がいるみたいよ」
「異動? ここにですか?」
「ええ、ハインツがそう言っていたわ。もっとも誰が異動になるのかは教えてくれなかったけど」
先輩が少しでも私の心を浮き立たせようとしているのが分かった。有難い事だ。
先輩の恋人は人事局に勤めている、その言葉に間違いは無いだろう。でも良いのかな、そんな事言っちゃって。 個人を特定したわけじゃないから良いのかな。それにしてもこの時期に兵站統括部に異動? どうも腑に落ちない。
「ディーケン課長、最近軍務省に行く事が多いでしょう、どうもそれの件らしいわよ」
「でもこの時期に異動ってどういう事でしょう」
私が問いかけるとコルネリア先輩が“ああ、ごめんなさい”と笑顔で答えた。
「今回のイゼルローン要塞攻防戦の論功行賞よ」
「論功行賞? まだ艦隊は戻ってきていませんけど……」
艦隊が戻るまで後四、五日はかかるはずだ。
「急いでいるみたいね」
「急ぐ?」
私の言葉に先輩が頷いた。生真面目な顔だ、いつものにこやかな先輩の顔じゃない。
「軍は次の戦いを考えているらしいわ。最近勝ち戦が続いているからたたみ掛けようというのね。艦隊が帰還すると同時に新しい人事が発令されるみたい」
「そして戦争準備ですか……、ますます忙しくなりそう」
また溜息が出た。イゼルローン要塞への物資の補給、次期出兵に伴う補給、どちらも楽じゃない。その上新しく配属される士官の世話……。勝ち戦なのにここに異動してくるのだ。余程のドジを踏んで使えないと判断されたのだろう。そんなのが来ても足手まといになるだけだ。
「まあ嘆いていても仕方ないわ、ぐずぐずしてると書類に埋もれるわよ」
「そうですね。今日も残業かな」
「頑張りましょ
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