第4章 聖痕
第37話 暗殺者(アサシン)
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開放軍を進め、エルフとの決戦を行うまでは戦を終わらせる可能性の少ない国が誕生している今ならば。
但し、その場合は、タバサの自我と言う部分は破壊され、彼らに扱い易い手駒と成るのは間違い有りません。
もうひとつの選択肢は、おそらく彼女の父親が辿った道。
オルレアン大公は、そのクーデター計画に異を唱えたのでしょう。国内をふたつに割っての兄と弟の継承争い。これは、亡国の所業ですから。
但し、殺人祭鬼に関しては、国が混乱して死者を大量に出す事が目的ですから、オルレアン大公の対応如何に因っては、暗殺されたとしても不思議では有りません。
例えば、兄王にクーデター計画が存在する事を訴えようとした場合とか……。
そして、オルレアン家には、夫人と、更に娘と言う手駒が残り、ガリア国内にもオルレアン派と言う貴族の派閥は未だ健在です。
内乱を起こす火種は、未だ十分に残って居ます。
短くない沈黙の後、ゆっくりと首を横に振るタバサ。
これは当然の反応。タバサに取っては、父親の暗殺に関わる存在からの申し出など受け入れる訳は有りません。
確かに、こいつらが直接手を下したと言う発言は今のトコロは存在してはいません。しかし、少なくともオルレアン大公の耳元で、王位への甘い言葉を囁いた存在で有るのは間違いないでしょう。
「所詮は、最後の最期で臆病風に吹かれた男の娘ですか」
☆★☆★☆
刹那、四方から、俺とタバサに向けて放たれる黒き一閃。
確かに常人レベルの動きしか出来ないのなら、確実に俺とタバサを仕留められるレベルのナイフ投擲術。
しかし!
「流石は、山の老人伝説に語られる暗殺者。普通の相手ならば、十分に無力化出来るレベルでしょう」
一瞬の後、涼しい顔で自らは立ち、代わりに床に倒れ込んだ暗殺者エリックを見下ろしながら、そう話し掛ける俺。但し、現在立っている場所自体が、最初の位置とはかなり違う位置なのですが。
まして、簡単に俺の生命も、そして、タバサの生命もくれてやる訳には行きません。
タバサとの約束は果たしていません。それに、スカアハに因る神の試しを完遂しない限り、俺の死後にどんな責めが待っているか判らないですからね。
何故ならば、スカアハも冥府の女神。約束も果たせずに、あっさりと冥府に送り込まれた俺を、彼女がどう扱うか。
……少し考えただけでも、背筋が凍りますよ。
ナイフが暗殺者エリックと、その他のカジノ従業員より放たれた刹那、振るわれる俺の右腕。
いや、おそらくアサシンの目でも、その右腕の動きは残像としか捉える事が出来なかったでしょう。
瞬時に、どうしても躱し切れないと判断したナイフのみを中空にて、俺の右手から放たれた何か
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