第4章 聖痕
第37話 暗殺者(アサシン)
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の可能性は有りますか。
確かに、このカジノ内に流れている音楽は、中世ヨーロッパの音楽とは思えないほど洗練された物ですし、魔法を使用しないイカサマ行為は奇術のトリックのような物です。
更に、猟奇かどうかは判りませんが、職業的暗殺者で有るのは間違いないでしょう。
しかし、タバサの方はエリックの言葉に対して、別に反応する訳でもなく、普段通りの冷たい視線を彼に送るだけで有った。
……いや、違う。先ほども感じた通り、彼女が発して居る気が、それ以外の雰囲気を発していた。
これは、……怒り。
「御館様に関しては、非常に不幸な事故で御座いました」
しかし、タバサの気を読む事も無く、エリックが更に微妙な台詞を口にした。
その口調は、確かに死者を悼む者の口調。但し、その裏側に、揶揄するような雰囲気を隠しているのが判る。
何が起きているのか判らないギャラリー達は様子を窺うのみ。
そして、そのギャラリーの間に、ゆっくりと。しかし、確実にカジノの従業員が混ざり込んで行く。
いや、そのカジノの客にしたトコロで、全てが一般人だと言う保障は有りませんか。
非合法潜入捜査官に対する連絡員と言う存在は重要で有り、本当に優秀なのは、その連絡員の方。
潜入捜査員の方には重要な情報は持たせずに、最悪、切り捨てて仕舞えば良いだけなのですが、連絡員の方は、そう言う訳には行きませんから。
暗い地の底から響くかのような雰囲気でエリックは続ける。
元オルレアン家使用人の仮面から、今度は、世に混乱をもたらし、死を運ぶ殺人祭鬼の一員としての顔を晒しながら。
「御館様も、最期の部分で正気に戻るような事にならなければ、今頃は、このガリアを混乱の渦に沈めて、怨嗟と死の風を吹かせる素晴らしい王となっていましたでしょうに」
じっと見つめられると、俺でも視線を逸らすで有ろう切れ長の青金石の瞳に狂気に等しい色を浮かべ、愛を語るに相応しいその口元を皮肉な笑みの形に歪めて。
そして、確かにモロク系の人身御供を要求する邪神ならば、世界が混乱する事は望みと成ります。
「尊師からの指令では、最早、シャルロット御嬢様は必要なしとの命令を受けていたのですが、どう為さいます、御嬢様」
暗殺者エリックが、これがおそらく最後の問いを行う。地下と、そして彼により相応しい、陰に籠った雰囲気を発しながら。
ひとつの選択肢は、彼らの手を取る事。
彼らが何を望んでいるのか。……いや、これは非常に判り易い図式ですか。
つい最近まで内乱で国が荒れ、人血で河を作り、怨嗟の呻きが風を起こしていた国が存在し、更に、その国の目的を完全に達しようと思うのならば、少なくとも、その聖地とやらに
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