第4章 聖痕
第37話 暗殺者(アサシン)
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何かの書物には記述して有ったと思うのですが。
そして、彼女なら、俺の未来の暗示について、何か知っている可能性も有りますか。聖痕……生贄の印に等しい傷痕を付けられつつ有る俺の未来の姿を。
もし、俺の未来を知っているが故のこの勧誘だった場合。つまり、クー・フリンと同じような未来を、再び自らの弟子に歩ませる事を良としなかったが故の勧誘だった場合は、俺の未来は非常に暗い物に成ります。
但し、だからと言って、彼女に見えている俺の未来についての答えを、簡単に教えてくれるとも思えないのですが。
ただ、彼女から依頼される神の試しをクリアすれば、もしかすると教えて貰えるかも知れませんか。
「それは仕方がないですね」
…………?
そのスカアハの一言は、それまでと同じ雰囲気で告げられたはずなのですが、何故か、彼女の声が聞こえ辛くなって来た。
そんな異常な感覚に包まれる。
いや、おそらくこれは!
俺は既に俺の目の前から遠ざかり始めているスカアハを見つめる。
スカアハが俺を見つめ返した。ほんの少しの微笑みを浮かべたその瞳で。
「貴方に頼みたい仕事は、一人の少女を救って貰いたいのです」
遠ざかって行くスカアハが、最後に神の試しの内容を伝える。
聞こえ辛いはずなのに、確かに聞こえる不思議な声で。
「不幸にしてヤツラの手に落ちて仕舞った彼女を、貴方の手で救って下さい」
女王!
俺が、スカアハの最後の言葉を聞き返そうとした瞬間、
俺は、自分の意識を保つ事が出来なく成っていたのでした。
☆★☆★☆
ゆっくりと意識が……。
……って、そんな悠長な事を言っている余裕はない!
慌てて目を開ける俺。
先ず目に入ったのは冷たい床と、俺の前に立つ人物の夜会靴。彼女に相応しい細い足首。
そして、白を基調としたイブニングドレスのスカート。
……やれやれ。俺はまた、タバサに護られていたと言う事ですか。
「成るほど。流石はシャルロットお嬢様が呼び出した使い魔です。私の術が通用しない相手が存在するとは思いませんでしたよ」
俺が目を開けた事に最初に気付いたのは確かにタバサでした。しかし、彼女の方は、俺の方を振り返って確かめる事もなく、代わりに最初に声を掛けて来たのは俺を排除し損ねたファントムと名乗った暗殺者の方。
それにしても。矢張り、タバサの正体を知っているようですね。……とすると、このカジノは単なる違法カジノなどではなく、山の老人伝説に繋がる殺人祭鬼どもの巣窟だったと言う事なのでしょう。
「タバサ、心配させて悪かったな」
俺はわざとゆっくりと立ち上がりながら、タバサに、先ずは実際の言葉にして感謝の言葉を告げる。
しか
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