アインクラッド編
回想――死の恐怖
[4/4]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
くぐって部屋にやってきたと同時に宝箱がけたましい音を響かせた。
その宝箱は数あるトラップの中でも最悪の部類に入るアラームトラップだった。
「ダッカー!! 離れろっ!!」
呆然とした様子のダッカーを押しのけて、キリトはすぐさま宝箱を破壊したが、すでに部屋の三方の入り口からはかなりの数のモンスターが押し寄せていた。
ムリだ、と瞬間的にキリトは理解した。
「みんな、転移しろ!!」
何が起きたか分からないといった様子の4人にキリトが叫ぶ。
弾かれたように動き出したダッカーが最初に転移結晶を引っ張り出した。
「転移、タクト!」
だが、その声にクリスタルは反応しなかった。
「クリスタル無効化エリア・・・・・・っ!!」
思わず歯噛みした。
キリトもそのような場所があることくらいは知っていたが、この階層でその言葉を耳にしたことはなかった。
アラームトラップとクリスタル無効化エリアの醜悪なコンボ。
逃げられない。それがこの場でどのようなことを意味するか、全員が瞬時に理解した。
キリトも4人に比べればマシとはいえ、かなりのパニックに陥っていた。
この状況から全員無事に脱出できるのか・・・・?
右手で持つ剣が小刻みに揺れる。
しかし、
何度もクリスタルを持ち上げて叫ぶダッカー。
周りの敵に対して震える手で武器を構えているテツオとササマル。
そして―――――泣きそうな顔でキリトに助けを求めているサチ。
その姿を目にした瞬間、キリトの中で何かが弾けた。
「大丈夫だっっ!!!」
恐慌状態に陥る寸前だった4人にキリトの声が届く。
まるで自分にも活を入れるような絶叫が部屋に響いた。
「4人は背後を取られないように円陣を組んで、ダメージをくらわないように防御に徹してくれ! 敵はわたしが何とかするっ!」
言われた通りに4人が背中合わせになる。
これで死角から攻撃される心配はないが、瞬間回復アイテムである回復結晶もポーションもスイッチの出来ないこの状況では使えない。
つまり、HPを回復させる手段はない。
キリトが敵を全て屠るのと、誰かのHPが全損し陣形が崩れるのとどちらが先か。
どちらの可能性の方が高いか、なんて考えるまでもない。
数が違いすぎる。
それでも、全てのモンスターを一刀の下で切り伏せれば希望はある。
諦めない。
諦めたくない。
諦めきれるわけがない。
こんな所で彼らを・・・・ダッカーやテツオ、ササマル、そして――――サチを死なせるわけにはいかない。
「わたしが・・・・守ってみせる!!!」
キリトは怒濤のように押し寄せてくるモンスターの大群に正面から切り込んだ。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ