アインクラッド編
回想――死の恐怖
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
べく走り出した。
「グルウアツッ!!」
ひび割れた声で雄叫びを上げながらゴブリンが粗悪な作りの棍棒を振り下ろしてきた。
見た目こそボロそうだが、ゴブリンの高い筋力値も相まって直撃すればレベル差が大きいとはいえ看過できぬダメージを負うだろう。
だが、もう何匹も同じ相手を倒してきているのだ。この動きは完全に把握している。
とん、と軽くキリトがステップで横に移動すると、寸前まで立っていた場所に棍棒が大音響を狭い路地に木霊させながら衝突する。
大振りの隙で動けないゴブリンに肉薄すると、
「せあ・・・・っ!!」
キリトは現在使える一番連撃数の多い5連撃ソードスキルを発動。
その体を四散させた。
「ふう・・・・・・・・」
目の前の最後の1体を仕留めて、キリトは少しだけ体の力を抜いた。
迷宮区に入ってからすでに2時間ほど経過している。
調子が良く、順調にマッピングを進めていた。
快調なのだからこのまま頑張ってボス部屋近くまで進むのも悪くないが、今日はギルドホーム購入祝いのパーティーを行うとサチが言っていた。
当然、キリトも誘われているので、そろそろ帰ろうかな、と思って踵を返し出口に向かった。
そんな時だった。
「ん? 何だ?」
迷宮区を抜けてフィールドに出た瞬間、キリトの耳にメッセージ受諾の音が響いた。
どのような場所であれ、迷宮ではフレンド機能によるメッセージ転送や位置情報確認はできない。
このタイミングでメッセージが届いたことは、キリトが迷宮区で戦闘中に誰かがメッセージを送ってきたことを意味する。
急いでメッセージを確認すると、送り主はサチだった。
ケイタに秘密でダンジョンでお金を稼いで家具を買い驚かせようとしている、という旨のメール。
内容を見て苦笑したキリトだが、行き先を見て表情を曇らせた。
場所は最前線の三層下の迷宮区だと書かれていた。
レベルだけを考慮するならキリトとケイタがいなくても問題ないのだが、キリトはその階層のダンジョンはトラップ多発地帯であることを知っていた。
すぐさまサチにそのことを伝えるためにメッセージを送ろうとしたが、既に迷宮区に突入しているようで、位置追跡もできない。
嫌な予感がした。
キリトはおもむろにポーチに入れてある透き通る青色の長方形クリスタルを取り出した。
転移結晶。
各階層主街区に設置されている〈転移門〉以外に別階層へと移動する唯一の手段。
フィールドでも使えるので緊急避難目的で使われることの多い便利な代物だが、1つでかなりのコルがかかる高級品だ。おいそれと使って良い物ではない。
別に何か確信があるわけではないのだ。
それでも、キリトの背中を冷や汗が伝うような擬似的感覚が、言いようのない
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ