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霧の向こうのハーレム
ハーレム生活
氷室の娘
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 なんでこんなことになったのだろう。
 なんでこんな男と歩いているのだろう。
 なんで私はこの男のことが気になって仕方ないのだろう。

「なあ理沙、村ってどっちだ?」

 なんでこんなことに。

「理沙さん?」
「え?あ、なに?」
「村ってどっちだ?」
「あ、えーと、山があっちに見えるからこっちだったはず。」
「はずって。まあいいや、行こうぜ。」 
「う、うん。」

 なんでこんな男に。

 この男が来るまでこんなことになるなんて思ってもいなかった。
 寝ても覚めてもどうしても気になってしまう。この男といると胸が熱くて苦しくなる。お母さんにその気持ちを言ってもただ笑って何も言ってくれない。
 けどこの男にはなぜだか言いたくない。どうしてだろう。
 森の中で二人きり。緊張して仕方ない。

「なあ理沙。」
「は、はい!?」

 声が裏返ってしまった。なぜか恥ずかしい。

「大丈夫か?」
「だ、大丈夫だよ?ほら。」

 ついつい意味もなく腕を振り回す。なんだか余計につかれた。

「で、なに?」
「ああ、理沙の指した方向に歩いているけど一向に村に出ないぞ。」
「え?ウソ、そんなはずじゃ。」
「って言ってもなぁ。出ないものは出ないし。まだ日は高いけどヤバくないか。」
「じゃあ、どうするの?」
「どうするってもな俺はこの森に詳しくないし。理沙の方が詳しいだろ?」

 詳しいだろ?って言われてもいつも鈴音について行くだけだったからそこまで詳しいない。
 実際あまり詳しくない。それにあの事もある。

「期待を裏切るようだけど実はあまり詳しくないの。」

 男の顔がこわばった。

「マジ?」
「マジって?」

 こわばった顔が白くなった気がした。

「どうしよ。」

 俺は頭を抱えて座り込んだ。ちょっと悪いことしたと思うが仕方ない。これもあの事のため。

「大丈夫だよ?この森にはクママはいないから。野宿しても何も心配することないよ。」
「いやでも。みんな心配するだろ?」
「大丈夫だって、ほら行こっ。」

 男の手をとり立ち上がらせる。もう少しだけ…。まだ日も高い、まだ帰っちゃだめ。

「おい、理沙。どこ行くんだ。あっちじゃなかったのか。」
「高い所に行けば村がどこか分かるはずよ。」

 まだ。まだだめ。今は村以外に行かなければ。


 



















 だいぶ日が暮れてきた。もうそろそろかな。

「かなり日が暮れてきたぞ。」
「そうね。急ぎましょう。」

 そろそろ来てもいいはずなのに。
 私たちは今西に向かって歩いている。海に出れば村に行きつくのは容易だからだ。


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