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SAO<風を操る剣士>
第一部 --SAO<ソードアート・オンライン>編--
第五章 オレンジギルド
第35話 覚悟
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 犯罪者(オレンジ)ギルドを(おび)き出す作戦を、《風見鶏亭(かざみどりてい)》で開始した翌日。俺はいつものようにシリカに朝七時に起こしてもらい、土曜日なので二人でご飯を作ってから食べる。


「何時くらいにココを出ますか?」
 食べ始めてからけっこうな時間が経ち、ご飯を食べ終わって昨日の余ったチーズケーキを食べながら、シリカが俺に聞いてきた。

「う〜ん……食べ終わったらすぐに用意して出るか、リズとの約束もあるし…」
「あ! お願いした武器の事ですね。なら確かに、早くお店を出た方が良いですね」
 リズとの約束を思い出して早く行こうとして、食べていたチーズケーキを慌てて食べ始めるシリカ。
「でも、だからといって急いで食べなくても良いぞ…」
 別に急いで食べなくても十分間に合うので、俺がシリカにそう言うと、シリカは急いでいた手のスピードを遅くして、顔を赤くして(うつむ)く。
 そんな恥かしそうにチーズケーキを食べるシリカは、凄く可愛かった。



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 ご飯が食べ終わって装備をした後に、シリカが髪を下ろすのを確認してから店を出る。
 隣の道具屋で、最近少し少なくなっていたポーション類の補充をしてから、《索敵》で転移門へ向う俺達の後ろを()けて来るプレイヤーを確認しながら(しばら)く歩いていると、転移門の前に到着した。

「そういえば四十七層って、あたし達ほとんど行った事ありませんでしたよね……。あたし、四十七層の街の名前、知りませんよ?」
「そうだったな……でも大丈夫だ。俺が知ってるから」
 転移門に乗った後、自分が街の名前を知らない事に気付いたのか、俺に心配そうに聞いてくるシリカ。
 でも、俺も行った事は無いが街の名前はアルゴからちゃんと聞いていた。…しかも、ずっと前に。

 俺はシリカにアルゴからダンジョンに()た時の情報を貰ってから、ほとんどの層を回りながら二ヶ月間、二人で確認しあって来た。
 けど、この四十七層の情報を教えてもらう時にアルゴが俺の耳元に寄ってきて、
『ココの層は、シーちゃんと回るには最高ダヨ……にゃハハ…』
 とか言ってきたので、最後の笑いに嫌な予感がした俺は、最後まで四十七層は行かなかったのだ。
 それに、俺も結局この層の情報だけは地図と街の名前、そして『この層に行ったら開けてネ』と言われて丸められた紙を渡されただけだった。

 ……はぁ〜、ホント何書かれてるんだろ…あの紙。一応言われた通り開けないでいたけど……。まぁ、行った後見れば良いか。

 そう考えて、俺はいい加減覚悟を決めて右手でシリカの左手を握り、街の名前を言った。
「転移! フローリア!」



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