第十四話
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で方面軍の防衛線は8000光年の距離を失ってしまった。
『防衛線を5000光年後退させる事で、時間を稼ぎ戦線を立て直す。XSF/A-R1の配備により戦力の増強の目処が立っている』
本来ならフルント人パイロットの中でもエースと呼ばれる連盟軍のトップエース専用機開発のための実験機だが、パイロット強化用ナノマシーンの投与は一般パイロットにも操縦を可能にさせるほどの効果があった。
「では小官が殿を務めさせてもらいます」
『准将……』
「自分の身体では、どのみちもう長くは戦えません。最後まで戦わせてください」
スクリーン越しに深く頭を下げるエルシャンにガッパー少将は「わかった」と短く答える。エルシャンがインターバルもとらずに出撃のたびに強化用ナノマシーンを使用していることは、もはや公然の秘密だった。
「ありがとうございます……小官はやはりトリマ家の男として失格なのでしょう。これで楽になれると思ってしまいます。本当の自分は弱い人間なのです」
通信を終えて、消えたスクリーンの向こう側に向かってガッパー少将は「分かってたさ……」と呟く。
そして「すまないポアーチ」と古い戦友であったエルシャンの父に詫びた。
クラト星系に残ったのはSF/A-311を中心とした部隊。そしてXSF/A-R1に搭乗するエルシャン。
まだ全部隊への配備が終わっていないXSF/A-R1の温存もあるが、他のパイロットはすでに撤退中の艦の中から同調しており、ただでさえ操縦性に難のあるXSF/A-R1をラグタイムの大きくなる遠方から操縦するのは、パイロット強化用ナノマシーンを投与したとはいえ一般レベルのパイロットには困難なため、SF/A-311と通信機能の強化されていない航宙母艦500隻による艦隊で、母艦種150体を超える艦隊を迎え撃つことになった。
だが150体の母艦種はただの先遣隊に過ぎず本隊は要塞種を5体を擁する大艦隊であり、予想される小型種の総数は1000万を超える。
そして今回の作戦の最終目的は、先遣隊ではなく敵本隊の撃滅だった。
「呆れてものも言えない……だが、最後の花道に相応しい」
エルシャンは笑みを浮かべると、規定量の2倍の強化用ナノマシーンを投与し最後の戦いに臨む。
先ずは先遣隊の撃破。これが成功しなければ本体はクラト星系を無視して撤退する友軍艦隊を追跡しかねない。何としても緒戦を制さなければならなかった。
敵の母艦種150体に対して、こちらの航宙母艦は500隻と数の上では圧倒的な優勢だが、実際は母艦種1体と1個機動艦隊(航宙母艦4隻編成)が戦力的に互角と言われる。この段階で既に劣勢であった。
亜光速航行でクラト星系唯一の可住惑星にして方面軍本部が置かれていたリオニクに殺到する【敵性体】艦隊へ、航宙母艦500隻の内の半数
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