第五十五話 過去
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
のに、私が一番・・・弱いから・・・お役に立てないのはイヤです・・・」
確かに小猫を除いた全員は強くなって来ていた。祐斗は聖魔剣を手に入れ、ゼノヴィアはデュランダルを使える。朱乃は最強の駒、クイーンで、ギャスパーは時間を停められる。アーシアは回復能力が優れており、イッセーは伝説のドラゴンを身に宿している。闇慈は死神の力を手に入れ、歴代の悪魔や堕天使を倒し、明鏡止水も習得した。
小猫は溜まった涙をボロボロこぼしながら話を続ける。
「・・・けれど、うちに眠る力を・・・猫又の力は使いたくない。使えば私は・・・姉さまのように。もうイヤです・・・もうあんなのはイヤ」
初めて見せる小猫の泣き顔に闇慈は少し戸惑いを見せるが小猫に話す。
「でも小猫ちゃん。それは話が矛盾してるよ。それに『強さ』ってそんな簡単に身に付くものじゃないと思う。そして事実や現実も受け入れることも『強さ』に結び付くんじゃないかな?強さが手に入らないと言って挙句の果てに身体を無理に傷つけ強くなっても、それは本当の強さじゃない。唯の『付け焼き刃』だ」
「っ!!闇慈先輩は強いからそんなことが平気で言えるんです!!先輩に私の気持ちなんて分かる訳・・・」
小猫が言い切ろうとした瞬間・・・
パン!!
病室に乾いた音が響き渡る。それは闇慈が小猫の頬を右手ではたく音だった。
「闇慈!?」
「闇慈君!?」
イッセーと朱乃もその事に驚きを隠せないようだった。
「・・・えっ?」
はたかれた小猫本人も呆然としていた。そして闇慈の眼が真紅の魔眼になると・・・
「いい加減にしろ、塔城小猫。誰にだって強くなりたいと言う気持ちはある。嘗ての俺がそうだ。だが、焦りで己を見失うな!!確かに俺も怖かった。死神の力が強くなっていく内に本当の自分じゃなくなってしまうんじゃないかと。しかし・・・」
闇慈は死神の時の口調で小猫に言い聞かせる。そして魔眼を解除すると・・・
「その恐怖に打ち勝つ心をくれたのは君だよ、小猫ちゃん。そして君は一人じゃない。部員のみんなやグレモリー家の人達だっている・・・人を信じる心があれば恐れるものはなにもない。それを忘れたらダメだよ」
闇慈はそれだけを言い残すと病室から退室した。それを追うかのように一誠も出てくる。
「おい、闇慈。いくら間違っているとは言っても叩くのはダメだろう?小猫ちゃん。怖がってだぜ?」
「僕もやり過ぎたかなって思ってる。でも僕は小猫ちゃんには強くなってもらいたいんだ。付け焼き刃じゃなく、本当の強さをね。さて・・・僕もあんなに言ったんだからもっと強くならないとね」
闇慈は小猫のことを思って・・・いや。好きだからこそ本気で怒った。それは一誠も分かっていた。
「だな。色んな意味で
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ