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とある星の力を使いし者
第32話
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分からなくなっている。

「悪い、一人にしてくれないか?」

ようやく口を開いた麻生から出た言葉がこれだった。
それを聞いて少しだけ哀しそうな表情になった神裂は席を立ち、病室を出て行こうとするが出て行く直前に麻生が呼び止める。

「火織、俺を助けてくれてありがとう。」

神裂は麻生の方に振り向くが、麻生は依然と窓の外をじっと眺めていた。
神裂は小さく笑って言った。

「あなたにはまだ借りがありますから、それではお大事に。」

そうして病室から出て行き麻生は外の景色を見ながら神の力(ガブリエル)の言葉を思い出す。

(星の守護者であるあなたが現在の星の状態に気付いていないとは。)

神の力(ガブリエル)は確かにそう言っていた。

(あの神の力(ガブリエル)は何が言いたかったんだ。)

外の景色を眺めて考えても答えが出る事はなかった。







火野神作は気絶した後、突入してきた警官達に捕縛され今は車に乗せられて刑務所に送られている。
彼は自分の中にエンゼルさまが居ない事が分かり放心状態だった。
武装している警官達も火野の変化に戸惑ってる時だった。
突如、強い衝撃が車を襲ったのだ。
何事かと思った次の瞬間には車の扉が破壊される。
そこから赤いローブを被った人が入ってくる。
警官隊の何名かが銃器を向けようとした瞬間には、警官達の身体が発火して一瞬で骨も残らず灰になってしまった。
火野はそんな状況を目の前にしても放心状態だった。
ローブを被った人は火野に近づき話しかける。

「己の神を見失ったか。」

その声は歳老いた老人のような声をしているがその声には老人のような弱々しさは感じられなかった。
そして火野に手を差し伸べる。

「私と共に来い。
 お前を導く天使を私が授けてやろう。」

今まで何を聞かれても反応を示さなかった火野がその言葉を聞いてピクリと反応した。
そして藁にもすがるような目をしていった。

「エンゼルさまに会えるのか?」

「会えるともお前がエンゼルに会いたいというその信仰心が必要不可欠だが。」

その言葉を聞いた火野は今までにない笑みを浮かべその人の手を掴む。

「あなたの・・・あなたのお名前は。」

「私はダゴン秘密教団の教皇、バルズ=ロメルト。
 お前を我が神達は歓迎するだろう。」
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