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とある星の力を使いし者
第32話
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じゃねぇ!
 俺は今、世界で一番「幸せ」なんだ!」

この不幸がなければインデックスに会う事も出来なかっただろう。
この不幸がなければ姫神に会う事もなかっただろう。
この不幸がなければ美琴が実験で苦しんでいる事を知る事はなかっただろう。
何より麻生恭介という男に出会う事はなかった筈だ。
だからこそ彼は宣言する。
自分の不幸は決して「不幸」ではないことを。
それを聞いた刀夜は言葉も出なかったがその時初めて小さく笑った。

「何だ、お前。
 最初から幸せだったのか、当麻。」

刀夜の顔はとても安堵の表情に満ちていた。

「馬鹿だな、私は。
 自分の子供から幸せを奪おうとしていたのか。
 といっても何が出来た訳でもないがな。
 私も馬鹿だな、あんなお土産にオカルトの力なんてないってことぐらい分かっていたはずなのに。」

上条はふと父親の言葉に眉をひそめた。
そして気づいた、何かがおかしいと。
刀夜はウソをついているように見えない。
刀夜はインデックスが自分の妻だと本気で信じているようだ。
刀夜が御使堕し(エンゼルフォール)の犯人なのになぜ、その違いに気づかないのか。
上条は考えようとした時、後ろから、さくっ、という砂を踏む音が考えを遮った。
上条は後ろを振り向く。

「ミーシャ=クロイツェフ。」

砂浜の波打ち際にポツンと赤いインナーの上に同色の外套(マント)を羽織った少女が立っていた。
上条は何かを言おうとしたが瞬間に喉が凍りついた。
ぞわり、とミーシャ=クロイツェフの小柄な身体から見えない何かが噴き出し上条の両足は地面に縫い付けられた。
殺意。
ただの殺意だけで上条当麻は石化していく。
ミーシャは腰からL字の釘抜き(バール)を引き抜き、ゆっくりと竹刀のように構える。
上条は身震いしたが下がる訳にはいかなかった。
震える手を握りしめて刀夜を庇うように前に立つ。
突然、あらぬ方向から神裂の怒鳴り声が飛んできた。

「そこから離れなさい、上条当麻!!」

ヒュン、という風鳴りの音が上条とミーシャの間を一閃する。
ミーシャの気が一瞬それて、その間に神裂が間に割って入った。
殺気立つ神裂の左右には土御門と麻生が立っている。

「ご苦労さん、カミやん。
 ケリを着けたんだろ?
 だったら下がりな、後はオレらの仕事だぜぃ。」

刀夜は土御門の顔を見て口をパクパクさせている。
刀夜から見ると土御門はキナ臭いウワサの立つアイドルに見えている筈だからだ。
だが、そんな誤解を解いている暇はなく上条は様子がおかしくなったミーシャの方を見る。

「あい、土御門。
 アイツは一体どうしちまったんだ。」

「いやー、考えてみればおかしかったんだぜい。
 どうせ他宗派の
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