暁 〜小説投稿サイト〜
とある星の力を使いし者
第32話
[2/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ような顔をする刀夜、その顔はただの一般人の顔だった。
だからこそ上条は奥歯を噛みしめた、刀夜を尋問するような真似はしたくなかった。
だが、ミーシャがやってくる間に終わらせないといけない。

「何で、だよ?」

声を振えない様に泣き出さない様に気をつけながら言った。

「何でオカルトなんてつまんねぇモノになんざはまりやがったんだ!?
 どうして魔術師の真似事なんかしたんだ!?」

それを聞いた刀夜の笑顔が消えた。
だが魔術師としての表情になったわけではなく、息子にやましい所を見られた父親のようなそんな表情だった。

「それだけ元気だと夏バテは大丈夫そうだな。」

再び上条に笑いながら話しかける。

「さて、何から話そうか。
 当麻、お前は覚えていないかもしれないが学園都市に送られる前に、周りの人達からお前がなんと呼ばれていたか覚えているかい?
 疫病神、さ。」

刀夜はつらそうな表情を浮かべながら言葉を続ける。

「お前は生まれ持ち「不幸」な人間だった。
 周りの人間もお前の側にいると不幸になると言って、お前に石を投げつけたりした。
 私は恐かったんだ。
 「幸運」だの「不幸」だの信じてお前に暴力を振るう現実が。
 だから私はお前を学園都市に送った。
 科学の最先端なら「不幸」という非科学なモノを信じないと思っていた。
 その科学の最先端でさえお前は「不幸な人間」として扱われた。
 以前のような陰湿な暴力はなかったみたいだがな。
 残された道は一つしかない、私はオカルトに手を染める事にした。」

上条刀夜はそこで言葉を断ち切った。
刀夜は御使堕し(エンゼルフォール)を使って上条の「不幸な人間」という肩書きを、誰かと入れ替えるつもりだったのだろう。
それは諸刃の剣と同じだ。
上条当麻という存在が誰かと入れ替わるという事は、自分の子供は二度と刀夜を父親だと思う事は無くなる。
それでも上条刀夜は我が子を守りたかったのだ。

「馬鹿野郎、ばっかやろうが!!」

だからこそ上条は吼えた。
刀夜は驚いた顔をするが上条はその表情が許せなかった。

「ああ、確かに俺は不幸だった。
 この夏休みだけで何回不幸な目にあったか分からねぇよ!!
 たった一度でも俺は後悔しているって言ったか?
 こんな「不幸」な夏休みを送りたくなかったなんて言ったかよ!!
 確かに俺が「不幸」じゃなければもっと平穏な世界で生きられたと思う。
 けど、自分がのうのうと暮らしている陰で別の誰かが苦しんで、血まみれになって、助けを求めて、そんな事にも気づかずにただふらふらと生きている事のどこが「幸運」だって言うんだ!?
 俺はこんなにも素晴らしい「不幸」を持っているんだ!!
 「不幸」だなんて見下してん
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ