第32話
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ような顔をする刀夜、その顔はただの一般人の顔だった。
だからこそ上条は奥歯を噛みしめた、刀夜を尋問するような真似はしたくなかった。
だが、ミーシャがやってくる間に終わらせないといけない。
「何で、だよ?」
声を振えない様に泣き出さない様に気をつけながら言った。
「何でオカルトなんてつまんねぇモノになんざはまりやがったんだ!?
どうして魔術師の真似事なんかしたんだ!?」
それを聞いた刀夜の笑顔が消えた。
だが魔術師としての表情になったわけではなく、息子にやましい所を見られた父親のようなそんな表情だった。
「それだけ元気だと夏バテは大丈夫そうだな。」
再び上条に笑いながら話しかける。
「さて、何から話そうか。
当麻、お前は覚えていないかもしれないが学園都市に送られる前に、周りの人達からお前がなんと呼ばれていたか覚えているかい?
疫病神、さ。」
刀夜はつらそうな表情を浮かべながら言葉を続ける。
「お前は生まれ持ち「不幸」な人間だった。
周りの人間もお前の側にいると不幸になると言って、お前に石を投げつけたりした。
私は恐かったんだ。
「幸運」だの「不幸」だの信じてお前に暴力を振るう現実が。
だから私はお前を学園都市に送った。
科学の最先端なら「不幸」という非科学なモノを信じないと思っていた。
その科学の最先端でさえお前は「不幸な人間」として扱われた。
以前のような陰湿な暴力はなかったみたいだがな。
残された道は一つしかない、私はオカルトに手を染める事にした。」
上条刀夜はそこで言葉を断ち切った。
刀夜は御使堕しを使って上条の「不幸な人間」という肩書きを、誰かと入れ替えるつもりだったのだろう。
それは諸刃の剣と同じだ。
上条当麻という存在が誰かと入れ替わるという事は、自分の子供は二度と刀夜を父親だと思う事は無くなる。
それでも上条刀夜は我が子を守りたかったのだ。
「馬鹿野郎、ばっかやろうが!!」
だからこそ上条は吼えた。
刀夜は驚いた顔をするが上条はその表情が許せなかった。
「ああ、確かに俺は不幸だった。
この夏休みだけで何回不幸な目にあったか分からねぇよ!!
たった一度でも俺は後悔しているって言ったか?
こんな「不幸」な夏休みを送りたくなかったなんて言ったかよ!!
確かに俺が「不幸」じゃなければもっと平穏な世界で生きられたと思う。
けど、自分がのうのうと暮らしている陰で別の誰かが苦しんで、血まみれになって、助けを求めて、そんな事にも気づかずにただふらふらと生きている事のどこが「幸運」だって言うんだ!?
俺はこんなにも素晴らしい「不幸」を持っているんだ!!
「不幸」だなんて見下してん
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