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SAO編−白百合の刃−
SAO2-黒と白
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 アスナが言っていたセリムブルグは、六十一層にある美しい城塞(じょうさい)都市。華奢(きゃしゃ)尖塔(せんとう)を備える古城を中心とした市街は白亜の……かこうがんだっけ、か? それが精緻に造り込まれ、ふんだんに配された緑と見事なコントラストを(かも)し出している。さらに面積はほとんどが湖で占められており、その中心に浮かぶ小島に存在するので外周部から差し込む太陽、または月の光が水面をきらめかせる様を絵画のごとく鑑賞することができる。市場には店もそれなりに豊富で、ここをホームタウンにと願うプレイヤーは多いが、お嬢様の花園よろしく、といったセリムブルグは驚愕するほどお金がかかる。だから、セリムブルグに住むプレイヤーは、余程ハイレベルに達さないかぎり入手するのは不可能に近い。
 アルゲードと空気の味が違うような気がするのか、キリトは思わず両手を伸ばしながら深呼吸をした。

「うーん、広いし人は少ないし、解放感があるなぁ」
「なんとなくキリトの発言は否定したいところだけど、同感ね」
「なんでだよ」
 
 キリトにつっこまれても気にせず回りを見渡すと、すっかり陽も暮れかかった最後の残照が街並みを深い紫色に染め上げていた。
 ここは……眩しすぎるなぁ。うん、私には似合わないな。
 後ろで街の感想を呟いていたのを聞いていたアスナはこんな提案をしてきた。

「なら君達も引っ越せば?」
「「金が圧倒的に足りません」」
「二人とも仲かいいのね」
「「そんなことない」」

 これが双子故の宿命か……くそっ。
 実は、圧倒的に足りたいわけではない。住むこともできるはできるが、そうしたら金が底なしになる。そうなるなら、今の家で我慢して攻略や生活に必要な物を買った方が良い。そもそも、この街は私には合わないわ。
 アスナに強制連行されている、同じソロプレイヤーのドウセツがアスナに遠慮なしに訊ねてきた。

「ところで、アスナ。まだ無駄な護衛廃止してないの?」

 アスナはくるりと後ろを向くと、うつむいてブーツのかかとで地面をトントンと鳴らし、口にした。

「わたしも、護衛なんて行き過ぎだと思っている。いらないってなんども言っているけど……ギルドの方針だからって、参謀職達に押しきれちゃって……」
「面倒ね。やめればいいのに、いっそのこと、もうやめたら?」
「そう言うわけにはいかないの」

 やや沈んだ声で続ける。

「昔は団長と“副団長”の二人ずつ声をかけて作った小規模ギルドだったのはドウセツも知っているでしょ」
「そうね」
「でも人数がどんどん増えて、メンバーが入れ替わったりして……最強ギルドなんて言われ始めた頃から、なんだかおかしくなっちゃって……あと、ドウセツ抜けちゃったし……」

 言葉を切って、ア
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