十一話
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断していたフェイトは健二を軽視していた。自ら別格と評した弓にそれ以上が無いと思いこんだ事によって。
だがどうだ。飛来した剣はフェイトの障壁を数枚だが破壊してみせた。先ほどまでとは明らかに異なる威力。これでフェイトは健二をも視野に入れねばならなくなった。
――I have a created over a thousand blades.
危なかった。一瞬目を離したと思ったらネギが投げ飛ばされていた。何とか改造黒鍵が間に合ったものの、心臓が止まるかと思った。固有結界を使うのは初めてだから出来るだけ集中しながら詠唱したかったが、そうもいかないかもしれない。
詠唱完了まで、後五節。
――Unknown to Death.
歯を噛みしめる。目の前ではネギと明日菜が一方的になじられていた。手に持つ弓には既に改造黒鍵をつがえている。だが、フェイトがそれを射させてくれなかった。つねにネギか明日菜のどちらかを射線上に置いている。
「くそっ! こうなったら……」
改造黒鍵をひとまず地に置き、通常の矢を四本投影する。これは非常に難しい技だ。実際はどうなのかは知らないが、俺は弓術だけでなく、心眼も持っているアーチャーだからこそ使えていたと思っている。だが、このまま黙って見ていることはできないし、改造黒鍵を無理やり射るよりはマシだ。
「重要なのはタイミングだ……」
そう呟きながら、俺は矢を上空高くに放った。
「……?」
フェイトは上空目掛け矢を放つ健二の意図を察することはできなかった。その理由の一つに、健二の弓以上に警戒せねばいけない存在が挙げられる。それは……
「やああああぁああ!!」
目の前の神楽坂明日菜と言う少女だ。アーティファクトである鋼鉄製のハリセンを振り上げる姿は素人そのもの。対捌きなどの技術的な面で言えば、千草の前鬼、後鬼の方が優れているぐらいだ。だが、近衛木乃香をさらった時に感じた違和感……その正体が知れた以上、軽視するわけにはいかなかった。
(魔法無効化能力か……まさかこんな所で会うとはね)
魔法無効化能力、その名の通り魔法……そして気をも無効化する。裏の者達にとって天敵と言える能力だ。勿論万全とは言わないが、放出系の技に関してはまず通用しない。
(黄昏の姫御子とスプリングフィールド……これは誰かのシナリオか、それとも運命、という奴なのか)
誰も気づくことは無かったが、先ほどまでとは違い今のフェイトはどこか人間臭さを匂わせていた。
――Nor known to Life.
後五秒……行動を起こすなら、今!
――投影、開始!
弓を破棄して新たな幻想を紡ぎだす。軌道が直線の矢がダメなら自在に操れる物を出
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