十話
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てた自分を殴ってやりたい。だが、どうする? 月詠と渡り合えるのは三人の内桜咲のみ。全投影連続層射を使ったとしても、戦いの歌が長く持たない現状ではなす術もない。だが、桜咲はネギ救援の最大戦力だ。ここで足止めを食うのは痛い。
何とかならぬかと思考を巡らせる。だが、その答えが出るよりも速く召喚の魔法陣が俺達の足元に浮かび上がった。
(最悪だ……)
光が晴れてみればそこは先ほどまでとは違った景色。目前には感情の無い瞳で此方を見やるフェイト。そして、白く発光する巨大な鬼神……リョウメンスクナノカミの姿があった。
「すいません……僕、このかさんを」
「謝らなくていい。とにかく、この状況をどうにかしないとな」
年上の意地でそうは言ってみたものの、状況は最悪だ。スクナの右肩付近に浮遊する天ヶ崎から近衛を取り戻すのはネギが魔力切れぎりぎりである以上、桜咲の仕事だ。天ヶ崎も桜咲に対応しながらスクナのコントロールをするなんて芸当はまだこなせないだろう。やはり問題は……
「お前、か」
右手をポケットに突っ込んで余裕だと言わんばかりに此方を見据えるフェイトを睨みつける。この場に置いて絶対的な力を持つ男。消耗した俺程度が戦った所でどうにもならないだろう相手。
「…………」
動けない。下手に行動を起こせば奴による一方的な蹂躙が始まる。一滴の汗が、ゆっくりと頬を伝い、地面に落ちた。
「ヴィシュ・タル リ・シュタル ヴァンゲイト」
「!」
まずった!? 確かに此方は動けなかった。だが、向こうはそんなこと関係なく、何時でも行動を起こせる!
「時を奪う毒の吐息を」
「逃げろおおおおお!!」
残存魔力等度外視して全力の戦いの歌を発動、隣にいた明日菜を脇に抱えて全力で後方へと飛ぶ。明日菜から悲鳴染みた声が聞こえるがそんなことを聞いている暇はない!
「大丈夫か!?」
思った通り、ネギは桜咲が運んでくれたようだ。だが、ネギはフェイトの石の息吹から完全に逃れることはできず……
「ネギ! アンタその手!?」
「ぼ、僕は大丈夫です」
右手の先から石化が始まってしまっている。俺達よりフェイトに近い場所に立っていたのが原因だろう。これで、原作同様時間とも戦わねばならなくなった。
「……桜咲。何とかして近衛を助け出すことはできないか?」
「…………」
「状況は最悪と言っていい。だが、近衛さえ救出できれば……」
「何とか出来る、と言うのか?」
返事は返さない。そこまでの自身は無いし、成功率は低い。出来れば、何事もなく原作が訪れてほしい。だから、これは保険と言えないような保険だ。
「近衛のことは、お前に任せる」
「……」
視線を
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