第二部
第一章 〜暗雲〜
九十一 〜新たなる智〜
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した。私の真名は雛里です、お預けします」
「うむ。私の事は好きに呼ぶが良い」
「は、はい。ご主人様」
「……待て。何故だ?」
と、雛里は泣きそうな顔をする。
「しゅ、朱里ちゃんがそう呼んでいると……。ふぇぇ、ご、ごめんなさい……」
「い、いや……」
全く、これでは私が悪者でしかないではないか。
「わかった、好きに呼べと言ったのだ。それで良い」
「わ、わかりましゅた!……あうう」
やれやれ、思わぬところでまた一人人材を得たのは良いが……要らぬ心労も増えそうだ。
四半刻が過ぎ、我らと伊籍は庵を出た。
「土方様。江陵の郡城に近づかない限り、軍勢には手出ししないよう主から指示が下ります」
「承知仕った。劉表殿に、よしなにお伝え下され」
「はい! では、これにて」
単騎で、伊籍は去って行った。
蔡瑁に見咎められぬかと尋ねたが、伊籍は万事心得ているとの事だった。
「さて。紫苑、そして雛里。参るぞ」
「はい」
「は、はい!」
「しっかりやるのよ、雛里」
「……水鏡先生も、お達者で。今まで、お世話になりました」
そんな雛里の頭を、司馬徽は優しく撫でた。
「土方様。この娘の事、改めて宜しくお願い致します」
「この剣に誓って」
司馬徽は満面の笑みを浮かべた。
「皆の者、待たせたな。急ぎ、陣に戻るぞ」
「応!」
私はもう一度司馬徽に礼をすると、馬に跨がった。
「雛里。馬が足りぬ故、私と共で良いか?」
「は、ひゃい!」
……ふっ、力が抜けるな。
しかし、朱里が戻ったらさぞ驚くであろうな。
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