第二十六話 ナンのお家その四
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
「何言ってるのよ」
「だって草原じゃそんなの一切ないから」
ナンは答えてきた。やはりここでもモンゴル民族の草原のやり方が出て来た。
「普通に見えるし」
「見えないわよ」
「何処なのよ、本当に」
パレアナだけでなくジュディも問うてきた。
「だからそこよ」
「そこって」
「何処にあるんだか」
「とにかくね」
ナンは話を聞かずに強引に話を収めてきた。天然である。
「待ってるから。宜しく」
そう言ってその場を去る。後には呆然とする皆だけが残った。
「これが地図か」
ダンもその地図を見て何と言っていいかわからないといった様子であった。首を捻ってばかりである。
「どうにもな。何が何なのか」
「とりあえず本人は呼ぶ気満々みたいね」
ジュディがその中で言う。
「行くしかないわね」
「やっぱりラッシー呼ぶ?」
ジョンがまた提案してきた。
「ナンの匂いを嗅いでもらってさ。これだとすぐだよ」
「そうねえ」
パレアナは今度ばかりはそれを真剣に検討しだした。
「このままじゃそれどころじゃないしね」
「っていうかモンゴル人ってこれでいつもお家に辿り着いてるの?凄いわね」
ジュディはそちらにも感心していた。
「いや、それナンだからでしょ」
「そうか。何か本当に野生児なのね」
「草原の民だからね」
パレアナが言ってきた。
「やっぱり独特の感性があるわよ」
「この地図ってそれ以前じゃないの?」
「そう言うかも」
パレアナは少しは前向きに肯定しようと思ったがこの地図はそれすらも許さないものがあった。そこまでのスケールがあるものであった。
「とにかくどうするの?」
ジョンが皆に対して言う。
「ナンのお家に行くんだったら」
「そうね。やっぱりラッシー呼んでくれる?」
「うん、じゃあ」
「いえ、皆さんここは待って下さい」
「!?」
誰かが言ってきた。皆そこに顔を向ける。
「えっ」
「あんたが!?」
「はい、ここはお任せ下さい」
誰かが名乗り出て来た。
「ううん」
「貴女なの」
「はい」
出て来たのはセーラであった。後ろにラムダス、ベッキーの二人の従者を連れてにこりと微笑んでいる。何故かその微笑が結構底知れぬ恐ろしいものに見える。
「私がすぐにナンさんのお家を見つけますので」
「そうやってなのよ」
まずはそれが引っ掛かる。しかし話は何時の間にか彼女のペースになっていく。こうして話は思わぬ方向に流れてしまうのであった。
ナンのお家 完
2006・12・30
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 ~小説投稿サイト~
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ