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八条学園騒動記
第二十六話 ナンのお家その三
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「そんなのある筈ないじゃない」
「じゃあどうやって」
「川よ。それか温泉」
 ナンは平気な顔で答える。
「昔みたいにお風呂に入らないってことはないけれどね。今だってそれよ」
「そうだったのか」 
 ダンにはこれもまたカルチャーショックであった。琉球は全体的に熱い星が多く皆シャワーを盛んに浴びるからだ。当然彼も結構綺麗好きである。
「こっちじゃ銭湯ね」
「ふうん」
「それか学校のシャワーを使ってるし」
「そうだったのか」
「意外だった?」
 そう話してからまたダンに尋ねる。
「シャワーがないって」
「いや、考えてみれば当然か」
 ダンは顎に手を当ててこう述べてきた。
「草原だからな」
「そういうことよ」
「じゃあ毎日綺麗にはしているんだな」
「勿論よ」
 それは保障してきた。
「私だって女の子よ。それは当然じゃない」
「そうだよな」
「そうよ。何だと思ってるのよ」
「いや、別に悪いことは」
「そう?まあいいわ」
 とりあえずはその言葉に納得することにした。それは話は続く。
「それでさ」
「ああ」
 またさっきの続きかとダンは嫌に思ったがその予想は外れた。ナンは話を最初に戻してきたのだ。
「皆を呼ぶにしても」
(ん!?)
 ダンはその言葉を聞いて意外に思ったがそれは口には出しはしなかった。黙って話を聞いていた。
「何を出したらいいかな」
「そうだな」
(さっきの話は忘れたか)
 それを確かめながら話を続ける。
「モンゴルの料理でいいんじゃないのか」
「モンゴルの料理」
「羊とか乳製品なんだろ?確か」
 それを尋ねてきた。やはりモンゴル民族といえばそれである。馬の乳と羊の肉が彼等のソウルフードなのだ。
「それを出したらどうだ」
「そうか」
 ナンは少し俯いてからそれに答えた。
「それがあったわよね」
「そうだろ?」
 ダンはそれに対してまた言う。
「それでいったらどうだ?」
「そうね」
 ナンはそれに頷いてきた。
「じゃあそれで」
「そうしたらいいさ」
 彼はそれを勧める。妥当だと思った。ナンもそれは同じだった。
「皆を呼んでな」
「わかったわ」
 こうして何とかといった形でナンの家に皆が呼ばれることになった。しかし皆はそれを聞いてどうにも困った顔になってしまっていた。これには理由があった。
「ナンの家ねえ」
「どうにも」
「何かあるのか?」  
 それに最初にそれを皆に言ったダンが問うた。皆の反応が気になったからである。8
「別に嫌だとかそういうのじゃないだろう?」
「ああ、それはないわ」
 パレアナがそれに答えてきた。
「オールオッケーよ」
「ここで使う言葉だったか?」
「そんなのはいいじゃない。たださ」
「ただ。何だ?」

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