第七話 幼児期F
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険ですので、注意しましょう。
「ごめんなさい」
「たく、転移が間に合ったから良かったものの…」
『ますたー背中大丈夫ですか?』
ちょっとひりひりするけど、大丈夫です。咄嗟にコーラルが防御魔法を展開してくれたから、そこまで痛くはなかった。俺の魔力を使うことで簡易なプログラムの魔法ならば、コーラル単体で発動することが出来る。インテリジェントデバイスさまさま。
「あひるさん、見せたくて…」
「わかったわかった。だから泣かなくていいよ。次からは絶対気をつけること、いいな」
「……うん」
まぁ2人とも無事だったからいいんだけどね。もし怪我したって母さんが聞いたら、研究とか全部ほっぽり出して駆けつけて来ただろうな。……あぶねぇ、母さんなら絶対に来た。上層部なんて千切っては放り投げていたかもしれない。それはざまぁ。
アリシアも泣きやんだことだし、俺は妹の髪をシャンプーで洗ってやる。妹はまだ1人でシャンプーができないため、いつも俺がしている。金色に輝く髪は腰よりも長く、アリシア自身もお気に入りらしい。母さんと同じぐらいの髪の長さ。色違いでも、せめて長さぐらいは揃えたかったのかもしれない。
「金髪に赤い目って下手したら厨二病なのに、似合っているよなー」
「むぅ? お兄ちゃんも私と同じがよかったの?」
「そういう訳じゃないんだけどね。金もいいけど、俺は黒色でよかったと思っているよ。アリシアはいやなのか」
「ううん。だってお母さんが太陽みたいって褒めてくれたもん」
「そっか。俺も好きだぞ」
俺は妹の髪を下から上へ手で動かし、全体的に馴染ませていく。さらに均等に質量をのせていき、タイミングをはかり、バランスを保つ。これを何度も繰り返すことで、綺麗に出来上がるのだ。
「そういえば、アリシアっていつも同じ髪型だけど、変えたりしないのか?」
「んー。私は好きだけど、変えてみてもいいかも」
「じゃあ、今度俺が結んでもいいか?」
「え、お兄ちゃんできるの?」
「ちょんまげなら」
無言で肘入れられた。バイオレンス。
『……あの、ますたー』
「なんだー、コーラル」
『アリシア様が目をつぶっているからといって、やりたい放題しすぎではないでしょうか』
「え?」
「あっ、待ってアリシア。もうちょっとで完成するから動かないで」
そして、フィニッシュ! 俺はやり切ったぜ。シャンプーが目に入るのを嫌う妹は、洗っている間は目をぎゅっとつぶっている。しかし、出来上がったと同時におそるおそると目を開いた妹の前には自身を写す鏡。そこには満足そうな俺の姿と、とぐろを巻いた芸術作品があった。
「テテテテーン、バナナアイスクリーム!!」
無駄に高い声が風呂場に響き渡った。
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