第七話 幼児期F
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ました!!』
「おぉ、まじか! さすがは我が相棒。してその内容は!?」
コーラルは自信を持って答えた。
『魔法で飛びましょう!!』
「…………さて、アリシア。なにか良い意見は思いつく?」
『あからさまにスルーされた!?』
「あ、高いところとか?」
『もはやいないもの扱い!?』
コーラルがいじけてしまった。妹はその様子に不思議そうにしている。信じられるか、天然でとどめをさしたんだぜ。
いやでもさ、実際魔法はやめとこうよ。また今度にしようぜ。飛行魔法って確か適正とかもあったはずだし、いきなり空飛ぶのは危ないだろ? なによりミッドの法律で勝手に空を飛ぶのは禁止されてるしね、とそう言ってなだめる。それに俺、今現在魔法は念話ぐらいしかまともに使えんし。とある理由でさ…。
『ようやく、……ようやくデバイスらしいことができそうだったのに…』
「まぁまぁ。でも高いところっていうのはナイスだ」
「やった!」
というわけで、さっそく実行に移しましょう。風が俺たちを待っているぜ!
コーラルは俺の肩にくっつき、俺は妹の手を握る。ミッドチルダで高いところといえば、やはりあそこだろうか。家のテレビなどにも映っていた景色であり、危なくないだろう所をイメージする。瞬間、俺たちを包み込むような光が溢れる。その光が輝き、一瞬にして俺たちの姿はかき消えた。
そこは雲を突き抜けるような建物の上だった。第1管理世界ミッドチルダの首都、『クラナガン』。時空管理局の地上部隊の本部があり、次元世界にとって大きな影響を及ぼす場所である。首都ということもあり、周りには超高層タワーが幾重に立ち並んでいる。俺たちはそのタワーの1つである屋上に転移した。
まず目の前に映ったのは、自分達のいるタワーよりも高くそびえる建物。その建物から下を覗けば、米粒のような人間が見られたであろう。もし余裕があれば、目の前に建っている建物をもっとじっくり見学できただろう。高層タワーからの景色の良さに感動したかもしれない。
だが、俺たちがそれらを実感することはできなかった。突き抜けるような風が全身を包み込み、さらに吹き抜ける。目的を達することは難なくできたが、1つ問題があったからだ。
転移した瞬間に双子の兄妹の心は1つになったのだ。風を感じた結果、己に生じた純粋な気持ち。俺たち2人は我慢できず、心からの思いを、この吸い込まれるような青空の下で思いっきり叫んだ。
「さ……寒い寒いさむいッ!! さむ、ふぇっくしゅんッッーーー!!!」
「はぁむぅいィィーーー!!!」
『ちょっ、ますたー転移転移転移!!! ふっとぶゥゥーーー!!!』
「てんいィィィーー!!」
「ま、まって! アリシア落ち着いて! 首締まってるか
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