第二十三話 想い人はその一
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いて何もないの?」
「ううん」
また顔が赤くなったがそれはやはり一瞬であった。
「別に」
「そう」
明香はそれを聞いて頷いた。
「いい人だし」
「いい人」
明香はその言葉にちらりと反応した。
「性格が?」
「そうよ。他に何があるの?」
「いえ」
明香は気付かれないように話を聞き出していた。彰子はそれに気付いてはいなかった。
「ないわ」
「そう。じゃあ」
彰子はそれを聞いて興味をテレビに戻してきていた。
「あっ、もう終わりね」
彰子は最後の曲を聞いて少し残念そうであった。
「早いわよね、何か」
「別にそれは」
姉のぼけた言葉に何と言っていいかわからなかった。
「まあいいわ。それでね」
「ええ」
話は元に戻った。
「管君だけれど」
「どんな人なの?」
「何て言うかな」
彰子は首を少し右に傾げて考える様子を見せてきた。
「変わった人でもあるわね」
「変わった人」
「何考えてるのかわからないところがあるのよ」
「そうなの」
「そうよ。けれど細かいところにも気が利くし」
何か掴み所のない人のようだと明香は聞いて思った。
「一言じゃ言い表せない感じ」
「ふうん」
「それでいい?何か私もあまりよくわからないのよ」
彰子の笑みが少し苦笑いになった。
「御免ね。隣になったばかりだし」
「いえ、それは」
別にいいと答えた。
「別に」
「そう。じゃあ」
彰子はここで話を終わらせて述べた。
「そろそろ私部屋に戻るからね」
「ええ、じゃあ」
「お休み」
「お休みなさい」
二人は挨拶を交あわせた。そしてそれぞれ別れるのであった。
明香はまだ部屋にいた。そこで色々と考えていたのである。
「やっぱり」
結論は出た。姉はやはり。だがそれは決して口にはしなかった。あくまで自分の心の中にしまっておくだけであったのである。
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