第二十二話 彰子の秘密その三
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「それだけです。私が言えることは」
「ええと」
「どういうことかしら」
四人は明香の言葉に訳がわからず顔を見合わせてしまった。それで考える顔を見せ合う。
「それだけです」
「ううん」
「あの」
訳がわからずまた問い直そうとする。
「それだけじゃさ」
「私が言えるのはここまでです」
だが明香はこれ以上話そうとはしなかった。
「姉さんのトラブルになりかねないから」
「いや、別にさ」
アンがその言葉に困った顔になる。
「私達は別にさ」
「ねえ」
ペリーヌもそれに応える。
「お姉さんに何かするつもりは」
「別に」
「それでもです」
だが妹としての言葉は強いものであった。
「私が言えるのは。もうこれ以上は言いませんので」
「そう」
「じゃあいいわ」
最後は明香の言葉に負けた。彰子も妹思いだが明香は明香で姉思いであった。だから姉にとって不利になるようなことは決して言いはしない。四人は彼女のその固いガードの前に負けてしまったのであった。
しかしそれでも。ヒントらしいことは見つかった。
「見ればわかる、か」
クラスへの帰り道ダイアナは右手を自分の口に当てて考えていた。当然他の三人も一緒である。
「そこね、どうやら」
「そうね」
それにペリーヌが頷く。
「要は彼女を見ていくこと」
「そこにヒントがあると」
アンも応えた。四人の次の行動はかなり決まってきた。
「けれどさ」
ここでジュリアが目を光らせてきた。
「何か感じるのよね」
「来たのね」
ダイアナがその言葉を聞いて目を光らせてきた。
「その勘が」
「ええ」
ジュリア本人もそれに頷いてきた。
「感じたわ。クラスにいるって言ったわよね」
「そうだったわね」
「それでよ」
目の色がまるで虹の様にめまぐるしい。ジュリアの勘が何かを告げている証拠であった。
「彰子ちゃんの視線の先ね」
「視線の先」
「そう、そこ」
三人に対して答えた。
「そこにいるわね、その想い人は」
「じゃあ」
「ええ、まずは帰りましょう」
ジュリアは言う。
「クラスにね」
「わかったわ」
「じゃあまずは帰って」
「そう、話はそれからよ」
こうして四人はクラスに帰った。そして中に入るとすぐに彰子に視線を集中させた。当の本人はそれに一切気付いてはいない。相変わらずのほほんとした様子であった。
「さて、と」
アンが彼女を見ていた。他の三人も。
「それじゃあはじめようかしら」
「といっても見るだけだけれどね」
「それでわかるかしらね、本当に」
ダイアナとジュリアは何か不安げであった。
「さあ?けれど妹さんが言うんだしさ」
「ここはいっちょやってみるってことね」
「そういうこと」
アンがペリ
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