第百十八話 思いだけでも、力だけでも
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「十五です」
今度はグン=ジェムの言葉に答えた。
「アカデミーから出てすぐに戦場に出てそれで」
「今ここにいるってわけだな」
「はい、そうです。あの時死んだと思ったんですけれど」
「人間そう簡単には死なんものだ」
「はあ」
何かコーディネイターとはまるで違う異様な雰囲気と巨体に飲まれていた。ニコルも実際はナチュラルにいささか偏見を持っていたがそれが恐怖に変わる程だった。
「コーディネイターでも何でもな」
「そうなんですか」
「人間なら誰だってそうだ」
グン=ジェムは言う。
「わしだって何度も死にかけてるしな」
「何度も」
「一番危なかったのはロンド=ベルとやり合った時だ。わし等全員あと一歩で死ぬところだった」
「僕も死ぬところでしたし」
「それで生き残ったんだ。まずはそれに感謝するんだな」
「はい」
「しかし坊主」
グン=ジェムは今度はニコルの顔をまじまじと見た。
「何でしょうか」
「御前はあまり戦争に向いてはいない顔だな。優しい顔をしとる」
「はあ」
「何で戦場にいるのかわからねえな。まあそれが戦争てやつだが」
「プラントを守る為です」
ニコルは強い表情になって答えた。
「その為に僕は戦ってるんです」
「プラントの為か」
「はい」
ニコルはまた答えた。
「だから。ブリッツがなおったらすぐにでも」
「ああ、あのガンダム首がねえな」74
ガナンがニコルの言葉を聞いてふと思い出した。
「あれをどうにかするのはちょっと時間がかかるぜ」
「そうですか」
「まあガンダムの首だったらな。オーブに行けばいいか」
「ああ、あのガンダムオーブのやつだったな」
ジンもそれに気付いた。
「じゃあそこに行けばだな」
「す、すぐにかっぱらう」
「かっぱらうってそんな」
「奇麗事だけじゃ世の中はやっていけねえ」
グン=ジェムはニコルにそう述べた。
「時にはそうしたことも必要なんだ」
「ですが」
「御前育ちがいいな」
あくまで反対しようとするニコルの態度を見て言った。
「顔立ちといい。やっぱり御前は戦争には向かないな」
「けれど」
「わかってる。それでも戦うんだろう」
「はい」
強い顔で頷く。
「何があっても。プラントを守らないと」
「そのプラントだけどな。大丈夫なのか?」
ガナンがここで言った。
「あれだけ洒落にならない物量差があるのによ」
「俺達だってそれで結構苦労したな」
「ああ、ロンド=ベルにやられたけどな」
「や、やっぱり数が大事」
「けれど僕達は」
「コーディネイターとかそんなのは問題じゃねえぞ」
グン=ジェムはニコルに機先を制した。
「それで戦争はできねえ」
「コーディネイターでもですか」
「じゃあ御前は一度に十人に囲まれて戦えるか?それで勝て
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