第百十話 宇宙に降る星
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な。それでだ」
「はい」
「君の詳しい経歴及び戦歴を見せてもらった」
そう断ったうえで言う。
「あらためて驚かされるよ。民間人上がりの君がこのストライクで戦ってきたことに」
そう言いながらストライクを見やる。
「コーディネイターの力がこれ程のものとはな」
「それだけで生き残ってきたわけじゃありませんから」
キラは俯いて答えた。
「他の皆がいてくれなければ」
「皆がか」
「はい、サイ達やヒイロさんがいてくれて。そしてエイジさんが来てくれて」
「それもあるがな。だが凄いことに変わりはない」
彼はここではあえてアムロやニュータイプ達を出さなかった。そのうえで話を続ける。
「戦うことを拒否するか、ヤマト少尉」
ブライトは穏やかな調子で問うた。
「えっ?」
「正直に答えればいい。今なら君をまだ普通の生活に戻すことも出来る」
「僕は」
キラは返事に戸惑った。だがブライトはその返事を待っていた。
「わかりません」
それが今のキラの返事であった。
「このままザフトと戦うこととみんなを守るという気持ち。どちらが重要なことなのか」
「そうなのか」
「はい、今は」
「わかった。では君に紹介したい男がいる」
「それは誰ですか?」
「私の古い知り合いでな」
ブライトは言う。
「かって君と同じように戦いの中で自分の居場所を見失いかけた男がいる」
「えっ」
キラはそれだけで誰か勘付いた。
「そして彼は自身の力によって他者と区別・・・・・・時には差別されてきた。ニュータイプの名の下にな」
「それってもしかして」
それだけではっきりとわかった。誰のことなのか。そこにその彼がやって来た。
「君がキラ=ヤマト少尉か?」
「アムロ=レイ中佐」
そう、それはアムロだった。ロンド=ベル、いや連邦軍が誇る最強のエースにもそうした過去があったのだ。キラは今それを知ったのであった。
「来たのか、アムロ」
「ああ、何か御前が呼んでいるような気がしてな」
アムロはブライトに笑ってこう返した。
「そうか、相変わらず勘がいいな」
「ははは、それだけだからな俺は」
「それだけ」
その言葉が妙にキラの心に残った。
「それでだ」
「ああ」
ブライトはさらにアムロに話し掛ける。アムロもそれに応える。
「本日付けで彼もロンド=ベルに合流した」
「そうか」
「アムロ、後は任せるぞ」
「おいおい、こういう役はブライトの方が適任じゃないか?」
「修正が必要な程ひねてはいないようだ」
ブライトはアムロに言う。
「昔の御前と違ってな」
そしてここで笑った。心を通じ合わせる仲間同士の笑みであった。
「じゃあな」
「ああ」
ブライトは去る。そしてアムロとキラの二人だけとなった。
「全く」
アムロは最初苦笑いを浮かべた。
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