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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第102話:エリーゼ・シュミット、退院す
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もと休みだったんだよ」

「戦闘部隊に勤務してるのに?」

「ま、いろいろあってね」

JS事件以後の出動制限のおかげで、6課のメンバーは週に1日の
休みが与えられるようになった。
ただ、それを姉ちゃんに言うわけにもいかず、俺は適当にごまかした。

「ふーん。まあ、詳しく聞こうとは思わないけどね」

姉ちゃんは、言葉の裏に何かあると気付いたようで、鋭い目をむけてくる。
俺が黙っていると、姉ちゃんはふと表情を和らげた。

「ところでさ、身体が完全になったら管理局に復帰しようと思ってるんだけど、
 大丈夫かな?」

「はぁ?何言ってんだよ。そんなことを考えるのは早すぎるだろ」

呆れてため息をつきながらそう言うと、姉ちゃんは首を傾げる。

「そうかなぁ? 生きていくのに仕事はしなきゃいけないし、
 どうせ働くなら経験のあるところで働きたいもん。
 それが無理ならどんな仕事につくか、早めに考えときたいってのもあるしね」

「気持ちは判るけど、当分はそういうことは考えなくていいだろ。
 姉ちゃんには7年分の未払い給料も支給されるし、任務中の負傷だから
 見舞い金も出るだろ? 当分働かなくてもいいくらいの金は持ってるじゃん」

「お金だけじゃないよ。なんか仕事をしてないと、気が滅入ってくるし」

姉ちゃんは少しヒートアップしてきたのか、俺の方に身を乗り出してくる。

「そんなことより、まずは父さんと母さんの気持ちをくんでやれよ。
 姉ちゃんの死亡通知を受け取ったあと、母さんは2週間は寝込んでたし、
 父さんだって1カ月は仕事にもいかずに家でごろごろしてたんだ。
 それくらい心にダメージを受けたんだぞ。2人を安心させるためにも
 しばらくはおとなしくしてろって」

少し語気を強めてそう言うと、姉ちゃんは気弱な表情を見せる。

「それを言われると弱いんだよね・・・。ま、しょうがないか」

「うん。管理局への復帰の件は、俺の方で確認してみるから」

「そう? ありがとね、ゲオルグ」

「いいって。俺が姉ちゃんにしてやれることって、そんなことしかないし」

姉ちゃんは、俺が言った言葉に首を振る。

「そんなことないよ。あんたのおかげでお姉ちゃんは命が助かったんだし。
 そのあとだって、管理局への申請とかいろいろやってくれたでしょ。
 管理局関係ではお父さんもお母さんも頼れないから、助かったよ。
 ほんと、あんたには感謝してるんだから」

「そんなの・・・大したことじゃないよ」

「いいじゃない。私が感謝してるって言ってるんだから、
 あんたは素直にそれを受け取っとけばいいの」

姉ちゃんはそう言って、俺の頬を軽くつねる。

「・・・わかった」


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