SAO編−白百合の刃−
SAO1-氷の漆黒
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「ちょ、ちょっとタンマ!」
鈍色に光る剣尖を咄嗟に体制を低くして回避した。
「タンマって言っているのに……」
私が静止するように言ったところで止めてはくれないだろう。そんなことをわかっていながらも、『イービルラビットマン』と言うモンスターに言ってしまうものだ。例えそれが、いかにも悪巧みしそうで可愛い毛のない表情をしていたとしても。奴は鋭い牙に、人と同じような体系に右手に持つ剣の攻撃をしかけてくる。危うく、私のHPバーと呼ばれる生命の残量を可視化した青いものが減らされそうになった。
七十四層の主街区の転移門に向かう途中、鍛えていた索敵スキルで十メートルほど離れた茂みの中に隠れている『イービルラビットマン』の姿が視界に浮き上がった。
先ほど全体的に能力高めの『ブラック・ホーク』と戦闘したばかりなのに、相手はこちらの動きを呼んだかのように素早く近づいてきて、今に至る。戦闘は避けられない。
「たく、可愛い気のない顔して……うさぎは可愛い小動物なのよ」
そう言っても、イービルラビットマンは返事をしない。話しかけても無駄だと言うことはわかっている。だけどあのモンスターの顔は、非常に悪巧みのことしか考えていないんじゃないかと思う。それだけ、モンスターの表情が良くできている。
『イービルラビットマン』の特徴は、奴のソードスキルを喰らってしまうと、一定の確率でアイテムが盗まれる仕様になっている。そしてこちら側の思考を読んだかのように、一番イラつかせる行動をするのが奴の特徴だ。主に被害があるのは、ギリギリのところで即行で逃げ出すことだ。
AIプログラムが動いているとはいえ、奴らは唯一無二の存在。次に会っても同じようには通用しないことを意識したほうがいいわね。
だったら……。
「すぐにケリをつけさせるわ」
こんな時こそ私は余裕の姿勢を保ち、カタナを左腰の鞘にしまった。
相手は相変わらずの悪巧みの表情。つか、他の表情を見たことない。
『イービルラビットマン』の表情が固定されていることに考えていると、奴は上段構えから高く飛び、飛び斬り技のソードスキル『メテオ・インパクト』を使ってきた。
『メテオ・インパクト』は名の通り、隕石の落下のような衝撃で威力も高いし、下手に避けても地面に叩きつけられた衝撃でもダメージを負ってしまう。けど、それは体格が大きい人とか隙があるものに対して使うべきだったわね。
『メテオ・インパクト』を私は“簡単”に避ける。
奴の隙ができた瞬間を見逃すわけにはいかなかった。
上位ソードスキル、『舞闘』宙に水色の軌跡のエフェクトを残すかのように、踊るように回し斬りを4連続斬りつけた。
4連続、イービルラビットマンの心臓、クリテ
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