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水の国の王は転生者
第八十八話 それぞれの思惑
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で二人を交互に見た。

「どうだ、ペリゴール。怖気づいたか?」

 マクシミリアンがペリゴールに問うと、ペリゴールは『にやぁ』と口を三日月型にして笑った。

「いえいえ、むしろこんな面白そうな集まりに今まで誘ってくれなかった事を、逆に問いただしたいですよ」

「結構。それでは、『これから』の事について協議を始めよう」

『御意』

 クーペとペリゴールが同時にハモリ、深夜の執務室にて3人の悪巧みが始まった。

 ……

 御前会議では綱紀粛正の為にゲルマニアへの侵攻の無謀を解いたが、本来の計画では、たっぷり時間をかけて準備し、スラヴ人の蜂起祭りに託けて、東ロレーヌを含めた西ゲルマニア各地を切り取る予定だったが、こうなってしまっては、修正をせざるを得ない。

 マクシミリアンは、これからのゲルマニア工作に付いて所見を述べた。

「今、プラーカのスラヴ人を見捨てれば、これからのゲルマニア分裂工作は難しい事になるだろう。そこでプラーカの反乱を支援する為にも、他の地域のスラヴ人も蜂起させよう」

「そうですね。同時多発的に反乱を起こさせなければ、プラーカの出来事を聞いて各地のスラヴ人が勝手に蜂起する可能性は十分あります。そうなれば、反乱は各個撃破的に鎮圧されてしまうでしょう」

 新しく悪巧みに加わったペリゴールも、マクシミリアンの案に賛同した。

「クーペはどう思う?」

「各地のスラヴ人を一斉蜂起させる事には異論はありません。ですが、鎮圧させるゲルマニア側にも混乱させる『何か』が欲しいですね」

「そうだな……」

 マクシミリアンは座っていた椅子に体重を掛けると、腕を組んで何やら考え始めた。そこにペリゴールが手を挙げる。

「陛下。参考になるか分かりませんが、お耳に入れたいことがございます」

「なにか、ペリゴール」

「外交官の世界では良く知られた事なのですが、オーストリとブランデルブルク、二つ選帝侯は大変仲が悪く、何かにつけいがみ合っております」

「ふむふむ、面白い情報だな。クーペ、この情報を元に何か策は無いか」

「ペリゴール殿の言われた、二つの選帝侯を争わるのが定石でしょう。陛下、我ら諜報局に工作活動をお命じ下さい」

「分かった、工作の詳細ついてはクーペに任そう」

「お任せ下さい。スラヴ人の反乱に政情不安とゲルマニアは面白い事になるでしょう」

 ヨゼフィーネの顔をしたクーペは、田舎臭い笑顔をマクシミリアンとペリゴールに向けた。

「さて、東ゲルマニアに関してこの程度にしておくとして、問題は西ゲルマニアだ。フランケン大公がどの様な人物かは知らないが、かの烈風カリンと互角にやり合った男が、出張るとなると大公にも何か策を考えなくてはならない。クーぺ。キ
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