第二部
第二章 〜対連合軍〜
百四 〜長安〜
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里、兵の指揮は任せるが良いな?」
「ぎ、御意です」
陛下の行方だけが気がかりだが、どうやら無用な戦はこれで終わりを告げたな。
長安は、確かに廃墟同然であった。
これでは、仮に襲撃を受けたら一溜まりもなかったであろうな。
仮の本陣で書状を認め、霞を見送った。
後は、待つより他にないな。
「土方様」
周瑜が、表情を改めた。
「何か?」
「はい。この命を助けていただいた御礼を、まだ申し上げていませんでしたので」
「体調の方は良いのか?」
「おかげさまで、嘘のように身体が軽くなりました。華佗の話では、もう再発する恐れはないようです。本当に、ありがとうございました」
「わたしからもお礼を言うわ。ありがとう、冥琳を助けてくれて」
「私は何もしておらぬ。礼ならば華佗に申せばそれで良い」
「いえ、そうは参りません。何人にも隠し通していたこの病、もう天命と諦めていましたから」
「……わかった、それで気が済むのであれば受け取ろう」
「はい。それから、今後は私の事は冥琳、とお呼び下さい」
「いいだろう。私の事は、好きに呼べばいい」
「わかりました、歳三様」
「良かったわね、冥琳」
「ああ」
微笑み合う二人。
断金の交わりは、この世界でも変わらぬらしい。
「さて。じゃ歳三、今夜は一緒に……ね?」
「何をするのだ?」
「決まってるじゃない。なんなら、冥琳も一緒にどう?」
妖しげな笑みを浮かべる雪蓮。
「あなたみたいな男の血なら、大歓迎よ? ねぇ、冥琳?」
「……雪蓮。それはいくらなんでも非礼だろう」
「いーじゃない。真名を預ける程の相手なんでしょ? もしかして、歳三じゃ不満?」
「そうではない。それに、良いのか?」
「え?」
慌てて振り向いた雪蓮。
その視線の先には……般若がいた。
「孫策殿。何をご所望で?」
「あ、あら関羽。いつの間に?」
「ご主人様に報告を、と思って今し方ですが。ところで、ご主人様に何をなさるおつもりで?」
「あ、あははは。い、いえね、一緒にお酒でもどうかなぁ、って」
「ほう。私の耳にはそうは聞こえませんでしたが」
「そ、そう? あ、そ、そう言えば落款があったんだ。じゃあまたね、歳三!」
雪蓮は、脱兎の如く駆け出した。
「全く、油断も隙もない」
「済まぬ、関羽。後で厳しく叱っておく」
「是非、そうして貰いたい。……ご主人様もご主人様です、もっと毅然と拒んでいただかねば困ります」
私はまだ、何も言っておらぬのだが。
「では歳三様、私もこれで」
一礼し、冥琳も去って行った。
……兵らも空気を察してか、皆下がったらしい。
「愛紗」
「……何か?」
「私が信じられぬか?」
「そ、そうではありませぬ。ただ、紫苑の例もありましたから」
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