第二部
第二章 〜対連合軍〜
百四 〜長安〜
[4/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ぞ?」
「ぶー、冥琳が堅いのよ。歳三はそんな事気にしないわよ、ね?」
相変わらず陽気な雪蓮に、こめかみを押さえる周瑜。
どうやら、雪蓮の気質には周瑜も苦労させられているようだな。
「ほらほら、そんな顔してないで挨拶しなさいって」
「全く、誰のせいで。……失礼しました」
表情を改め、周瑜は私に礼を取った。
「お初にお目にかかります。姓は周、名は瑜、字は公瑾と申します」
「姓は土方、名は歳三だ」
続けて、霞と雛里も名乗りを上げる。
「関羽も元気そうね?」
「ええ、孫策殿もお変わりないようで」
愛紗も、いくらか肩の力を抜いて応えている。
「ご無沙汰しています、冥琳さん」
「ああ、久しぶりだな朱里」
微笑みを浮かべる周瑜と朱里。
私の読んだ書では対立した二人だが、この世界ではそのような事もなさそうだな。
「さて雪蓮。早速だが話を聞かせて貰おう」
「そうね、時間もないものね」
雪蓮は表情を引き締め、我らを見渡した。
「歳三。勅書が偽物だって噂を流したのは、あなたね?」
「そうだ。だが、根拠あっての事だ」
「でしょうね」
雪蓮が頷き、周瑜が後を引き取る。
「あの噂が流れた後、私も独自に調査しました。その結果、単なる噂ではないという疑惑が浮かび上がってきました」
「それで?」
「それとなく、袁術殿に伝えてみましたが」
「無駄だったのよね。あの子にそれが理解出来る訳もないんだけどね」
雪蓮が肩を竦めた。
「ふむ。では、長安に向かったのは何故だ?」
「事の真相を確かめる為よ。当人に聞くのが一番間違いがないでしょ?」
「……とは言え、そのまま袁術殿に言上しても無駄な事ですから。陛下を土方軍よりも先に保護しておくという名目で許可を得たのです」
「周瑜さん。連合軍の中で、偽勅書の話題は一切なかったのですか?」
雛里の問いかけに、周瑜は頭を振った。
「いや。反応を見せたのは曹操殿、それに今は土方殿に降った公孫賛殿だ」
「白蓮さんは真相に気づいたと仰ってました。曹操さんは、承知の上で動かなかったようですね」
「その通りだ、朱里。だから、虎牢関攻めでは消極的な姿勢に終始しているのだろうな」
「せやけど、周瑜はん。偽物やっちゅう事がはっきりしたら、連合軍には損になるだけやろ?」
「霞の申す通りだ。ご主人様と月様に対する戦いの意義そのものが疑われてしまう事になる」
周瑜が、二人に向かって頷く。
「ああ。寧ろ、徒に軍を発し天下を騒がせた……処罰の対象になりこそすれ、賞される事はないな」
「そこがわからへんな。曹操はんの事や、それが見通せえへん筈ないやろ?」
「だが、素知らぬ顔で最後まで勅命に従えば、少なくとも信義を問われる事はない……そう考えればどうかな?」
不敵な笑みを浮かべる周瑜
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ