第二部
第二章 〜対連合軍〜
百四 〜長安〜
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俄然慌ただしくなる。
二刻後。
愛紗を伴い、城門を出た。
兵は僅かだが、函谷関と潼関の守備兵を連れて行く事にしている。
これ以上洛陽の守兵を割くのは好ましくなく、また効率も悪い。
それに、この状況で二つの関に兵を置いておく意味はない。
雛里もそのまま函谷関で合流するよう、使者を出しておいた。
「ご主人様。一体何が起きているのでしょう?」
「わからぬ。先行させた朱里らが、何か情報を掴んでいれば良いのだが」
「御意。しかし、鈴々は大丈夫でしょうか?」
「心配か。だが、当人が大丈夫と言い張っているのだ。信じるより他あるまい」
疲労を隠しきれぬ鈴々は、そのまま洛陽に留まるように命じてきた。
私に同行すると言って聞かなかったが、身体が動かせぬのに無理はさせられぬ。
「そうですね……」
そうは言うが、表情は曇ったまま。
愛紗にとって、鈴々は実の妹同然なのは変わらぬようだ。
……この場に、劉備がいたならばどうなったであろうか。
この二人と、実の姉妹のように接していたのやも知れぬな。
「そこまで心配ならば、今からでも洛陽に戻って構わぬぞ?」
「いえ。それに、私が此所を離れては誰がご主人様をお守りするのですか」
愛紗は、じろりと私を睨む。
「ふっ、その元気があれば良い」
「ご、誤解されては困ります。鈴々の事は勿論気がかりですが、ご主人様の事を蔑ろにするつもりはありませぬ」
「うむ。だが恐らく、長安では戦になるまい」
「そう言い切れますか? 確かに孫策殿は、ご主人様と争うつもりはないと仰せでしたが」
愛紗は首を傾げる。
「この軍勢も万が一の用心、勝てぬ喧嘩をせぬ為だ。雪蓮らはともかく、張譲が何を企むかわからぬからな」
尤も、如何に悪賢い張譲と言えども策を弄するのは難しいであろう。
仮に雪蓮らが何かを命じられたとしても、周瑜がいる。
引き連れた兵を合わせれば数は我らがやや上、しかも地の利も此方にある。
既に偽とは言え逆賊と名指しされた身だ、兵を率いる事で非難を受けても構わぬ。
最悪、月には累が及ばぬ筈だ。
……勘ぐり過ぎやも知れぬが、その程度の事は備えておいて損はないからな。
「はい。万が一奴らが不埒な真似に及べば、この私が容赦はしませぬ」
「私とて同じだ。話は終わりだ、先を急ぐぞ」
「はっ!」
長安までは指呼の距離とはいかぬ。
強行軍になるが、今は時が惜しい以上やむを得まい。
長安の手前、二里ほどの場所で霞らが待っていた。
「歳っち、愛紗。早かったな」
「急がせた故な。朱里、雛里、状況は?」
「はい。孫策さんの軍には動きはありません」
「その他に、長安に出入りする人の気配もなさそうです。念のため、兵士さんに見張っていただいています」
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