第21話 沈む心、甦る決意(2)
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こんなになるまでほっとくなんて。純吾君が私たちを思ってくれてるのと同じくらい、私たちだって、彼の手助けをしたいって思っているのに」
やれやれといった風に、忍が嘆息した。リリーもそれにつられるように、ため息をつきながら言う。
「えぇ…。本当なら、ジュンゴはそんな事は誰よりも経験しているはずなんですけどね。やっぱり、前の世界の影響は抜け切れていないのかしら」
ため息交じりのリリーの言葉に、引っかかる点を感じた忍と恭也。まだ彼の過去にトラウマとなっている事があるのだろうか? それを詳しく聞こうとリリーへ質問しようとした忍を、少しかすれた幼い声が止めた。
「お兄ちゃん、リリーさんっ!」
目の周り赤くしたなのはが、まっすぐに恭也とリリーを見ていた。顔は泣いた影響で赤く、少しはれぼったくなっているが、恭也たちを見据える瞳には、苛烈なほどの意思の光が踊っているのが見てとれた。
「私にも、戦い方を教えてくださいっ!」
なのはが勢いよく頭を下げた。そして突然の彼女からの頼みごとに、目を白黒させる恭也たちへ更に言葉を続ける。
「私っ! 純吾君にあんな事があったなんて、どんな気持ちで私達の事を手伝ってくれてるかなんて知らなくてっ!! だから知らないうちに甘えてたって思って!
だからもう、純吾君に迷惑かけたくないから……悲しんでほしくないからっ! お願いします!!」
頭を下げ、溢れる感情を隠そうともせずに、なのはは自身の思いをぶちまけた。これまでのジュエルシード封印の時、いつも彼は体を張ってなのはを守ってくれた。だからこそ、彼女は安心して、自らの身の守りを考えることなく封印作業に集中できた。
けれども、純吾の話を聞いてしまった。彼が、どれだけ友達や仲間を失った事に後悔を、恐怖を覚えていた事を知ってしまった。そんな彼に、これ以上負担をかけるような事はもうできない、させたくない。
それはなのはの決意だった。
「まぁ……、キョーヤはジュンゴを鍛えてるから分かるけど。どうして私も?」
なのはの頼みごとに、目をしばたたかせていたリリーが尋ねた。その疑問に近くの椅子にのっていたユーノが答える。
「今回の魔導師についてですが、純吾でもあまり抵抗できずに負けてしまいましたし、空戦にかなり手慣れている感じがしました。それに使用した魔法の様子から、雷への魔力変換資質を持っています。
彼女の事を念頭に置いて訓練をするのであれば、空を飛べて、雷を使えるリリーさんに相手をしていただけるのが一番だって思ったんです」
ユーノの説明に納得したリリーは何度か軽く頷いた。
そしてゆっくりと片頬を釣り上げ、口を三日月にして笑う。
「そう、私と同じような戦い方をする子なの。
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