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魔王の友を持つ魔王
§43 暗躍する人々
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「ちぃ…!!」

 蹴り上げてくる巨猿の動作は機敏だが、ジュワユーズはその上をいった。薄紫の前髪が蹴りの風圧で、ふわりと舞う。

「せっ」

 更に前進。巨猿との距離は僅か数十センチ。そこで、再び刃が煌めく。

「コケー!!」

 コカトリス達の視線が石化の呪いを放つ。

「撃てー!!」

 十数基のガトリング砲が火を噴く。

後方支援(サポート)は万全、か」

 笑いながら言霊を紡ぐ。

「このジェリゴに邑を建つる者、主の御前にて呪わるべし!!」

 聖絶の特権を駆使して再び切りかかる。唐竹割。更に投石器(カタパルト)が寸分違わず猿に爆薬をぶつけていく。

「グガァアアア!!?」

 絶叫しつつ倒れ落ちる巨猿。少し遅れて、この場所が昼間から闇の世界へ塗り替わる。黎斗の権能による冥府の侵蝕がここまで来たのだ。

「主、少しばかり遅いぞ」

 苦笑しながらジュワユーズは振り向く。護衛の続行が、彼女の任務。周囲の敵は全て石化しただろうが油断は禁物だ。

「またせたな、ニンゲン。いくぞ」





「ここは……?」

 護堂は周囲を見渡す。自分はヴォバン侯爵と戦っていたはずだ。といっても、苦戦して割とピンチだったりするのだが。ところが今居るのは、いつぞやにやってきた須佐之男命の住処。

「俺はどうしてここにいるんだ?」

「それは、天叢雲(ソイツ)がお前をここに連れてきたからよ」

 須佐之男命が、口を開く。どうやら銃刀法違反の権化(コイツ)のおかげらしい。まさか凶器に感謝する日が来るとは。天叢雲が転移をしてくれなければ、自分は今頃エリカ達ともども仲良く死んでいただろう。

「って、エリカ達は!?」

 エリカ、リリアナ、ひかりに裕理、大切な仲間たちの不在に焦る。もしやヴォバンの元へ――!?

「あぁ、ソコだ。ソコ」

 須佐之男命が指した机の上には、綺麗な簪が四つ。

「おまえ――!!」

「まぁ落ち着け。そもそも……」

 人間達に姿を見せてはいけない事を伝えられ、腑に落ちない点は多々あれど納得し。現世が気になり聞いてみれば猿が暴れていることを聞き歯噛みをして。黒衣の僧正に弼馬温について問いただし。目まぐるしく変わっていく話題。

「黎斗とお前は……いったいどういう関係なんだ?」

 護堂が、尋ねた。それは玻璃の媛から勾玉を貰い、去ろうとした直前に放った一言。ふとした拍子に浮上した、取り留めもない疑問だ。

「あー……ダチ、とでもいうべきか」

 困ったような顔をしながら話す須佐之男命。彼のこんな顔を見るのは初めてだ。

「腐れ縁みたいなものですな」

 黒衣の僧正がヒヒヒ、と笑う。が、すぐに表情が
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