二十話・前編
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れない。
レイフォンは剄の振動波の度に金剛剄を行った。だが金剛剄は衝撃を弾く技。内部からの衝撃故原理的には完全にダメージをゼロにすることは出来ない。戦闘に支障がないレベルにまでなんとか打ち消せたが、その余波の結果が口から垂れる血だ。後頭部は壁にぶつけた際のものだろう。
だが、まだ動きに問題が出るほどではない。ならば問題はないとレイフォンは思考する。
多数の閃断によって足止めしたガハルドへ接近しながらレイフォンは閃断に紛れるように練っていた剄の渦を落とす。
―――外力系衝剄変化・蛇落とし
竜巻状の剄が上空からガハルドを襲う。
閃断を打ち消し終わったが、逃げられなかったガハルドはそれを受ける。その風圧にガハルドがこらえる。もとよりレイフォンはガハルドを飛ばすつもりで剄を練っていない。
レイフォンの背が爆ぜる。
―――外力系衝剄変化・背狼衝並びに内力系活剄変化・旋剄、
レイフォンは瞬く間にトップスピードまで上げ、
―――並びに疾影。そして殺剄
ガハルドの直前でその姿が消える。
凄まじいまでのロウ・トップ・ロウのチェンジオブペース。蛇落としに意識を取られていたガハルドは一瞬で消えたレイフォンの気配を追う。
だが遅い。
ガハルドは急に現れた剄にレイフォンを見つける。それは己が足元。まるで地を這う獣。
蛇落としで上へと力がかかっていたガハルドの足元に潜り込んだレイフォンは剣を振るう。
剣を背に、四足の獣の如く地に伏せ抜剣。伏せた獣が飛び掛かるかの如く地を蹴り剣が唸る。
―――クライン舞刀術・琥伏閃
ベリツェンでネコバ……もとい住民の絶えた家から「保管」した伝書の技。外力系衝剄変化の剣術。
元々は青龍偃月刀や柳葉刀の様な幅広の刃をもって使う技らしい。手から出る剄が刀身を覆う剄と僅かに反発。刀身を真ん中に挟むように剄の刃が形成。獣の爪の如き三爪が敵を狩る。
振り抜かれた刃をガハルドは何とか避ける。だが剄の爪がガハルドの胸元を僅かに抉る。
怯んだその一瞬、レイフォンは続けざまに突きを放つ。
―――活剄承継混合変化・鎗伸剣
避けられず両腕を交差させて受けたガハルドが吹っ飛んでいく。
(二……いや三か……?)
考えつつレイフォンは閃断を放つ。今更だがよくよく考えれば先のガハルドの技は有難かったかもしれない。
そんなことを思いつつ、閃断よりも一息遅れ向かってくる風打を避けるようにレイフォンは飛び込んでいく。
一刀一打が触れ合うたびに離れ技が往来する。
技の余波に時折巻き上がる砂煙が観客の目から二人を隠したりしながらも再び一進一退の攻防が続いていった。
視線の先
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