二十話・前編
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ては見てなぞるだけのレイフォンは原理を知らない。基礎さえ習っていない。元々化練剄は多彩であり読みづらいこともある。
そしてレイフォンがルッケンスの技を知る理由のサヴァリスはこの技をレイフォンに向けたことがない。
それどころかレイフォンは知らぬことだがサヴァリスはあえて使わなかった。
出来るだけレイフォンとの戦いを楽しみたいサヴァリスにとって本気にならぬレイフォンに使ってはつまらないだけ。使おうと考えることさえしなかった。
それでもレイフォンが直前で気づいたのは偶然と言える。あえて言うとするならばサヴァリスとの命懸けの追いかけっこで鍛え抜かれた直感といったところだろう。
(……問題はない)
レイフォンは内心呟く。
錬金鋼は一つではない。なくても取り返しはつくがこの武器が今壊れては困ったことになる。だからこそ錬金鋼の取り敢えずの無事にレイフォンは安堵する。
だがその代償にレイフォンの姿勢は崩れきってしまった。
そこをガハルドは見逃さない。
踏み込んだ足元が割れ瓦礫が舞うほど強く全体重をかけて。その体が膨張したかに思える程の加速を持ってガハルドは踏み込みレイフォンへ向けて絶大な威力の拳が放たれる。
―――ルッケンス奥伝・剛力徹波・穿
音を幾重にも置き去りにした拳が剣を盾にしたレイフォンのその盾ごと貫き、込められた剄が打ち込まれる。
―――活剄衝剄混合変化・金剛剄
それをレイフォンは金剛剄で受ける。だが踏ん張りも効かず殺しきれぬ衝撃に体が錐揉みしながら何度も殴られ続けているかのように吹き飛ぶ。
円形の試合場の壁。そこにまで飛ばされレイフォンは背中から壁に激突。刹那その壁が崩れ落ちる。
穿は打ち込んだ剄を振動波として変えその衝撃で相手を幾重も震わせる浸透破壊系剄技。剄にて身を穿つ技。触れたレイフォンの背中から伝導した波状の衝撃波に壁が崩れ落ちたのだ。
立ち上った砂煙にレイフォンの姿が見えなくなる。
ゆらり。
立ち上る砂煙がふと強風に吹かれたように大きく揺らめく。
瞬間その中から剄の刃がガハルドへと向かう。
一つではない。幾つもの閃断が襲いかかる。
「―――ちっ」
ガハルドは横へ逃げようとし、別軌道を描く閃断に気づき舌打ちする。
風打の剣への応用だ。放つ姿が見えぬという利点を使いレイフォンが放った不可視の刃はガハルドを取り囲むように放たれている。
舌打ちしたガハルドは足を止めその場にて閃断を迎撃。一つ目の閃断が消されると同時に砂煙の中からレイフォンは姿を表す。
砂煙に巻かれたレイフォンは全身が汚れている。閉じた口の端から血が一筋垂れ、後頭部にも僅かに痛みがある。垂れてはいないがもしかしたら血が滲んでいるかもし
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